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俺の四畳半が最近安らげない件
本能寺 かく炎上せり
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障子を破いて覗いた眼下に、桔梗の紋が翻る。
謀られたことに気が付いたのは、いつの事だったろうか。
不覚にも、この俺が。
否。この乱世に確かなものなど何もない。俺とて繰り返してきたことだ。


―――ただ一つ確かなのは、俺の命が今宵尽き果てること、のみである。


俺が安寧に惚け力に酔い、用心を怠ったその刹那から、あの何と言ったか、宣教師共がよく口にした……
そう、死神とやらの鎌は、俺の命を捕らえていたのだ。…自ずと口元が歪む。
この世は全て、戯れよ。
俺は戯れに敗れた。それに後悔はない。ただ一つ…ただ一つだけ後悔があるとすれば。



何故、この四畳半の茶室で、俺の傍に控えているのが『弥助』なのだ。



弥助は俺が支配者として駆け出しの頃、宣教師共に献上された『黒い人間』だ。
最初は薩摩あたりで捕まえた巨人に墨でも塗ったのだろうと思っていたが、洗ってもこすっても色は落ちないし、宣教師連中とも違う謎の言語は意味が分からんし。だが頭は悪くなかったようで、片言だが日の本の言葉も習得した。
で、興味深いので俺の側仕えとして採用したのだ。腕力は百人力だし、高い所のものを取るのに便利だし、重宝していたことは確かなのだが…


「コレ、割トヤバイネー」


「うるっせえな、分かってんだよ云われんでも」
忙しい時とかピンチの時とかに、何かイラっとする言動をとる奴っているだろう。多分こいつの民族性みたいなものなのだろうが、何かこいつ深刻な話が通じにくいのだ。…あぁ…ここに居るのが蘭丸であれば…
「蘭丸殿ガ、初っ端デ面白イ死ニ方シナケレバネー」
「―――もう云うな」


こともあろうに蘭丸は、明智軍の誰かが景気づけに放った矢が眉間にスコーンと刺さって面白い姿勢でぶっ倒れたのだ。


「戦モ始マッテナカッタネー」
階下の一室で、蘭丸は今も面白いポーズの骸を晒している。…こういう変な死に方は弥助とかのほうがしっくりくるのに…
「燭台持ッタママ倒レル所ガ、面白サ倍増ポイントネー」


―――それな。


燭台の油は燃えやすそうな布やら障子やらに散りまくり、あっという間に飛び火して、辺りは火の海と化した。俺と弥助はほうほうの体で階上に逃げたのだが…
「…野郎、絶対俺が故意に火を点けたと思ってんだろうな…」
「大将、オレガ伝エニ行クカ!?蘭丸ガ矢デヒックリ返ッテ火ガツイチャッタッテ」
「伝えてどうする!!うっかり明智如きに包囲されただけでもアレなのに、うっかり失火とかカッコ悪さマシマシだが!?」
人生の終焉をこいつと二人きりで過ごすとかもう…なんだこの状況。なんとなく勘だけどこいつ、捕まっても処刑とかされなそうだし。鬼ごっこで云うところの『豆』というやつだ。
「…お前は恐らく捕まっても殺
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