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俺の四畳半が最近安らげない件
本能寺 かく炎上せり
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とか後世に伝わってしまう。



「人生ィ!!五十年ンゥゥゥン!!!」



自分でもビックリするような大声が出た。
俺はわざと、奴らの目につく窓辺で扇子をふりかざし、敦盛を叫び続けた。こうなったら俺は踊る。敦盛を踊り狂う。出来れば炎を背に自刃とか渋い方向を狙いたかったが背に腹は替えられない。
「うぅ浮世の夢とおぉう、較ぶればあぁぁ!!!」
「信長サマ、ウルサイヨ」
「うるさいのはお前だあぁぁ!!」
誰のせいでこんな無茶な最期を演じることになったと思っているのだ貴様!!
「ホラ、信長サマガ儀式ノ邪魔スルカラ…荒ブルヨ!『オグン』ガ荒ブッテイルヨ!!」
部屋の周囲を火柱が取り囲んだ。火勢はとどまることを知らず、俺たちの周囲を圧し包む。…今しがた、板の間の掛け軸が焼失した。いよいよ、この部屋がやばい。
「…おい、お前が祈祷を始めてから炎の勢いが半端ないんだが」
「オグン、炎ノ神ヨ?」
今更なに云ってんの?みたいな顔で弥助は少し首を傾げてみせた。…うっわぁ、こいつがオグンとやらを呼んで何する気なのかは知らないが状況だけは完璧に自刃モードだ。…もういいや。さっさと自刃だ、自刃自刃。
「待ッテテネー、今火加減調整スルカラ」
釜の火でも弱めるようなノリで、弥助は何処からともなく丸い石のようなものをゴッソリ取り出してばら撒き始めた。
「何だそれ」
「蛇ノ頭蓋骨」
「ちょっとやめてくれない!?」
これ以上俺の死に意味不明な陰を落とすのはやめてくれないか!?
「アッチャー…『オグン』凄イ荒レップリネ…トドマルトコロヲ知ラナイネ」
奴はもう一回り大きい頭蓋骨を、わっしと掴んでぶん投げ始めた。
「静マリ給エエエエ!!」
「ちょ、今度は何の骨だ!!」
「猿ノ頭蓋骨!信長ホントウルサイヨ!!」
「猿と蛇の頭蓋骨に囲まれて死にたくないんだが!?俺なにか大人げないこと云ったか!?」


弥助はこの男に似合わぬ静かな目で俺を見つめると、ふっと小さく笑った。


「信長ハ、死ナナイヨ」


「弥助…」
「私ガ、守ルモノ」
「お前そういうのちょいちょい挟むのやめてくれないかな」
本当、こういうのが腹立つのだ。こちとら数刻後には死ぬというのに。
しかし何だ、もう死ぬというのに、こいつのこういう所にムカつくのも馬鹿らしい。頑張れ信長、覇者の余裕を取り戻すのだ。俺は小さく笑って再び座禅を組み、夜着の前を割って腹を出した。そしてそっと目を閉じる。
悪くない。…悪くない人生であった。
「さらばだ、弥助……ん!?」
何やら半端ない圧に思わず目を開けた俺は、思わず小刀を取り落とした。
「な、な…!!」
「信長ハ死ナナイッテ云ウタヤン…」


魔人…俺はこんな存在を示す言葉を他に知らない。刃のように照り輝く半
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