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KANON 終わらない悪夢
36美汐の初体験
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 一弥と栞によって倉田本家は陥落した。
 当主のジジイは栞に肋骨をへし折られて暫く寝たきり老人にされ、議員の娘婿も投げ飛ばされて失神。
 一弥と母親は再会して、生前自分のいた部屋に戻ったが、奥さんや母親になって欲しいとまで言われた栞は、貧困の深刻さを教え、ブルジョアどもに蟹工船な生活や同年代の少女の「値段」を教えて恫喝。
 精神年齢が七歳程度の少年の心をズタズタにして完全勝利するという大人げない行動を取った。
 名雪は舞や祐一の妹や娘である重ね合わせの可能性を否定し、恋人でいたいと選んだ。
 選択できる未来はどれも過酷だったが、文化人類学的にもアジアに多い兄妹による国産み神話系統ではなく、キリスト教的なアダムの肋骨から産まれたイブが名雪、悪魔として扱われるリリスなどの役目が舞や別の娘に与えられた。
 何か最終兵器栞さんが「この星はもうだめです」とか言い出して、巨大化して暴れたりフェンリルでギターをベキベキ鳴らしてラグナロックで革命起こして、ギンヌンガガップに大政奉還させられるらしい。

 第三十六話
 倉田家。
「奥様、ちょっと宜しいですか?」
 爺やに呼ばれて、泣き寝入りした一弥を預ける母。息子が懸命に天使の人形と呼ばれる災厄に電話していた件だと思った。
「一弥様の電話先が判りました。天の岩戸と呼ばれる障壁の向こう、私どもが管理しております神社の中から内線を引いた物でした。PBXに登録されてメタル線が二本奥に入っております」
「神社の? さらに奥ですか?」
 ものみの丘を取り囲む、各家が管理する神社のさらに奥、人の入れない領域に潜む災厄の元凶。
 明治以降、廃仏毀釈や神代えで何を祀っていたかすら分からなくなった神社の中でも、丘に埋まっている物、もしくは丘の膨らみ全てに地層が乗った物の入り口を守っていた神社の奥に、人間臭い方法でアナログの有線電話が設置されていた。
「左様です、私どもの手が出せない神域ですが、出入りを監視する程度なら出来ます。その目的は先程簡単にお話しました通り、聖人のような人物は生き残り、一弥様がお嫌いな、悪人や綺麗事を言うだけの人物が生け贄とされるようです。例えば役人ですとか政治家、おっと失礼しました」
「構いません、事実ですから」
 政治家の金や権力への汚さは身を持って知っている母も、あの類の人物が一掃されるならと思いはしたが、それが北海道全域なのか、日本全土に及ぶのか考えただけで震えた。
「八人ほどの巫女を不老不死や精霊にして、一弥様と月宮あゆなる人物の復活、これにどれほどの代償が必要かは私には解りかねますが、各家、分家まで集めて話し合う必要があるかと思います。当主様からは隠居の言質を頂きましたので、奥様がご出席下さい」
 その話し合いが、討伐方法や攻め込む準備の話し合いではなく「命乞い」「誰を
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