【止まり木にまどろむ二羽の小鳥】
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が額にそっと片手の二本指で触れると、ヒナタは額の呪印がすぅ...っと消えてゆくのを感じた。
『ヒナタは、籠の鳥なんかじゃない。父様も、俺だってそうさ。──心までは決して、自由は奪えない。俺達は……どこまでも“自由な心”であればいいのさ』
(ネジ兄...さん……)
ネジの優しい微笑みに、ヒナタは心が暖かくなり、一筋の涙を流す。
『さぁ……もう行こうヒナタ。自分から籠の鳥になってはいけないよ』
(うん……ありがとう、ネジ兄さん)
ヒナタは差し伸べられた手をとって、ネジと共に蒼空へ向けて飛び立ってゆく。
……ヒナタがふと目覚めると、何故か布団の中にいて、ネジの方がヒナタの寝ている布団の横で正座してまどろんでいた。
(え...? あれ、私ったらネジ兄さんの代わりにおフトンで寝ちゃっててどうするの……!?)
ヒナタは慌てて身体を起こし、ネジが頭を垂れている顔をそっと覗き見た。
(やっぱり……ネジ兄さんの寝顔、綺麗……)
ヒナタが見とれていると、ネジが不意に瞳を開いて目覚める。
「ん...? あぁ、ヒナタ様。起きましたか?」
「ひゃっ、ご、ごめんなさいネジ兄さん...! おフトンから出るのほとんど許しませんとか言っといて、私がお布団で寝てしまって───」
「構いませんよ、大分頭痛も良くなりましたから」
微笑むネジにドキリとしながらも、しかしヒナタは納得しない。
「う、ウソですっ。まだ一日も経ってませんよ! おフトンに戻って下さいっ」
「あなたも結局、俺の傍で寝てしまうのでしょう?」
ネジは少しイジワルな笑みを見せる。
「それは...! ネジ兄さんの綺麗な寝顔、ずっと見てられるけど、私もつい眠くなってきちゃって……。ネジ兄さんも、寝てる私を見ていて眠くなったんでしょうっ?」
「違い、ますよ。瞑想していたんです」
不機嫌そうにそっぽを向くネジ。
「とにかく布団に寝直して下さい! 言う事聴いてくれないと“おデコつん”して、また強制的に眠らせちゃいますよっ」
「そうはいきません、これ以上あなたに無防備な寝顔を見せる訳には……!」
「えいっ!」
「はッ!」
「「 あ、」」
互いの額を同時に人差し指で小突いたヒナタとネジは、脳神経の極一部を刺激して眠りを誘発させ、一緒になって布団の上に寝落ちしてしまう。
「もう……こうなったら、一緒にとことん眠りましょう、ネジ兄さん・・・───」
「そう…ですね……。お休みなさい、ヒナタ、様…。お互い今度こそ、最初から最後まで、いい夢を───」
二人は寄り添って、深い深い眠りに落ちてゆくのだった。
《終
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