【止まり木にまどろむ二羽の小鳥】
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(あの時向けてくれた優しい笑顔を、私は今でもはっきりと覚えてる。──ありがとうネジ兄さん、でも守られてばかりじゃいけないの。私が、兄さんを守れるくらい強くならなきゃ。安心して背中を預けてもらえるように……私はあなたと共に強くなるよ)
ヒナタはそう心に誓い、ネジの額に自分の額をそっと合わせた。
……ネジがぼんやりと目を覚まし、ふと横に目を向けると、ヒナタが正座したままうとうととまどろんでいて、その膝の上ではネジの片手を両手で優しく包んでいた。
(───・・・!? ヒナタ様に、いつの間にか手を握られていたというのか……??)
どぎまぎしたネジは、布団から身体を起こし両手に包まれたヒナタから片手を離そうとしたが、気持ち良さげにまどろんでいるヒナタを起こしてしまうのは気が引けたので、ヒナタが不意打ちでしてきたように額を人差し指で軽く触れ、深く眠らせればいいのではと思い立ち、気付かれないようにそっと人差し指で額に触れ、脳神経の極一部を眠らせる刺激を与えてみる。
──するとヒナタは力を失って深い眠りに入り、ネジの上にパタリと寝落ちしてきた。
(……俺の寝ていた布団で悪い気はするが、ヒナタ様を寝かせるか)
ネジはそっとヒナタを低く抱き上げ、布団の上に寝かせて掛け布団を首元まで掛けてやった。
……ヒナタのすやすやと眠っている寝顔が、余りにも可愛いと感じ、このまま独り占めしようかとも思ったネジだが、魔が差してはいけないと、そっと部屋を出ようと立ち上がりかける。
「ねじ兄さぁん……、行っちゃヤダ…っ」
寝ぼけているとはいえ、従兄がどこかへ行ってしまうと無意識の内に感じたヒナタは、ネジの服の裾を片手で掴んで離さない。
(仕方、ないな……。ヒナタ様も傍に居てくれたんだ、俺も……傍に居てあげよう)
ネジは、フ...っと優しい微笑みを浮かべ、ヒナタの傍に座り直した。
───ヒナタは、夢を見ていた。
ヒナタ自身が、その額に“日向の呪印”を施されている。
(そう……、私が分家でいいの)
(宗主のヒザシ様と、宗家生まれのネジ兄さん)
(そうしたらきっと、大切なお父上の傍に居るネジ兄さんの笑顔を、遠目からでも見ていられたはずなのに)
(私は……分家生まれの役立たず。宗家に呪印の力を使われて、苦しめばいいの)
『───ヒナタ? どうしてそんなに、悲しそうな顔をしてるんだ』
額に呪印の無いネジが、ヒナタに呼び掛ける。
(そう、私に敬語なんて必要ない。ネジ兄さんに、呼び捨てにされたいの)
『──・・・なぁヒナタ、君にそんなものは必要ないだろう?』
(え……?)
ヒナタに近寄り、ネジ
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