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第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#46
FAREWELL CAUSATIONY〜Hold Me In The Stormy〜
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“シャナ!”
“大好きよ”






 幻聴か幻想か、一度だけ振り返ったように見えた少女の姿が灼きついた。
 彼の、空条 承太郎の戦いは、これで終わった。
 決して絶ゆるコトなき不屈の精神、それを少女の囁きが眠りにつかせた。
 その光景、100年前の、あの二人が最後の生き写しか。
 そうでなければ死ぬまで戦う。
 愛する者のために、受け継がれる未来のために。
 それが、気高き血統の一族に示された宿命。
 少女の心は、他の何にも代え難い「尊いもの」で充たされていた。
 ソレの前には、恐怖も苦痛も絶望も意味を無くした。
 二度と振り向く事はなく、足元を蹴り最愛の者から離れ行く少女。
 穏やかな表情から一変、決然と前に視線を向けた風貌は凛と研ぎ澄まされている。
 だがその様相は戦士のソレではない、
女神のように静謐で聖者の如く威風に溢れている。
 黄金を、ダイヤモンドも凌ぎかねない精神の燦めき。
 そして変革。
「――ッッ!!」
 少女の裡で、その存在の源泉、中核と成る部分が弾けた。
 同時にその真紅の双眸が光を一切透さない、
事象の地平が如き無限の超高密度へと変貌を遂げる。
 歴代フレイムヘイズを全て紐解いても、
伝承は疎か存在すらしなかった未曾有の覚醒能力、
フレイムヘイズ “(しん)灼眼(しゃくがん)
 これまで少女の窮地を救い、その凄まじい能力(チカラ)が猛威を揮ったのは実に三度、
彼女の感情が著しく高ぶった時のみ。
 一度目は怒り、二度目は激情、三度目は歓喜、
何れに於いても壮絶の一言に尽きる戦果を捲き起こしたが
今回のソレは以前を上回る深度で発現しているように視られる。
 だが裏腹に、感情は燃え盛っていない。
 凪のように、波のように、一切の情動が無いように想われる。
 コレは、嘗ての発現感情(トリガー)が自己に向かっていたのに対し、
今回は他の、『別の方向』 に向いているからなのか、
アノ蹂躙の爪牙の首すら刎ね飛ばした力にしては厳かな立ち上がり。
 しかしそれが却って、裡に宿る深情を揺さぶり
前3回を超える能力の発現と成り得るのか?
 だが無駄である。 
 シャナ本人が自覚していない能力のためその全貌は未だ明かされていないが、
これまでの戦況から概論すれば、 “真・灼眼” とは要するに
神経の情報伝達速度が異常に『加速』 される能力である。
 その影響により従来の剣技、焔儀、法儀が練度、精度共に数段底上げされ、
更に活性した感覚が身体の精密動作を極限まで向上させ
通常では成し得ない超絶技までも発動させる結果となる。
 だが先刻のアラストールの例を出す迄もなく、
スタンド、 『正 義(ジャスティス)』 には如何なるパワーも技も通じ
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