第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#46
FAREWELL CAUSATIONY〜Hold Me In The Stormy〜
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れる。
絶望の余塵を振り飛ばすが如く払った後に存在を誇示するは、
西洋甲冑に日本刀を携えた少女。
無明の双眸、光明の庇護、背の鎧翼で空に立ち、
苦難を乗り越えた者だけが発する気高さを宿し
純潔な声が天啓のように響き渡る。
「人は、成功や勝利よりも、
『失敗』 から学ぶコトの方が多い。
正直、勝ち目なんてなかった。
おまえ達二人、どっちが相手でも私一人じゃやられてた」
敗北宣言とも取れる少女の言葉、
しかし一切の卑屈さも惨めさもなく声は廉潔に紡がれる。
「でも “だからこそ” おまえ達が死ぬほどに、
それ以上に追い詰めてくれたおかげで、
ほんの少しだけ 「成長」 出来たみたいなの。
おまえ達がそうだったみたいに」
大刀の柄を握り締めたまま、微塵の隙もなく少女は
逆水平に構えた指先をソラトに向ける。
「 『似ていた』 のよ。
おまえの 『宝具』 と、私の “炎髪”
その裡に宿る真の 『能力』
何かを取り込み生み出すという点で、
“とてもよく似ていた”
『運命』 なのか、それともスタンドみたいに
同じような存在同士 引かれ合ったのか、
ともあれおまえの能力がヒントになって私は成長出来た。
感謝はしないけど、それだけは言っておくわ」
頬についた傷が治りかけている、全身に刻まれた無数の裂傷も同様に、
似ているとはいっても逆の能力、ソラトの装甲が破壊に特化しているなら
シャナの甲冑は守護の特性に長けている。
吸血鬼と人間、奪う者と護る者、棄てる者と誇る者、
対極の存在次元が二つの鎧に明確に顕れた。
「――ッ!」
この事態に最も焦燥を露わにしたのはティリエル、
『正 義』 の最も無敵なる部分の
牙城が崩されたというのもあるが、問題なのはその後の対応。
単純に考えれば、スタンドを一旦解除し
再び大樹の発現操作に移行すれば良いのだが、
コトはそう都合良くは進まない。
己の存在を知る者、そのスベテを例え何人だろうと
虹彩の裡から跡形も無く爆殺し、
尚且つその「事実」すらも破壊のみを遺し
時間を逆行させるスタンド能力。
ソレと同じコトで一旦「解除」してしまえば、
甲冑が砕けた所で再び 『正 義』 を
発現させようとしても不可能なのだ、
極限まで追い詰められて発現した能力故に。
ティリエルほどの才能ならば、
修練を積めばそう長い時間を要さず
次元の異なる双力を自在に行使するコトの出来る、
恐るべき遣い手に成長するだろう。
だが今は肝心のその「時間」が無い。
故に彼女は、実質攻撃力はゼロのスタンドで、
非常に相性の悪い敵と戦い続けなければならない、不利を承知で。
ソレこそが 『正義』 の真価、都合の良い夢想だけに耽
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