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第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#46
FAREWELL CAUSATIONY〜Hold Me In The Stormy〜
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 おまえのせいじゃない。腕一本で上等の男だった。
おまえが居たから勝利できた。
『最高の戦いだった』
 だがソレは、オレ個人の我が儘によるモノ、この少女には関係ない。
 戦いたいから闘った、途中おまえのコトは完全に忘れていた。
 だから、詫びるコト等出来ない、おまえが泣く必要はない、
でも、おまえは、それでも――  
「いつだって……」
 ならば、詫びはしない、慰めなど意味がない、
おまえのために出来る事、ソレは――
「もう片方もくれてやるさッッ!!」
「――ッ!」
 少女の涙が止まった。
 中途半端な優しさや感傷を言った所で心の傷は返って深まるばかり。
 だから偽りのない 『本心』 だけをブツける。
 一本はアノ “男” にやっちまったから、もう一本はおまえに――
 惜しくはない、本当に惜しくはない。
 アラストールがそうしたように、
立場がたまたま “オレの側” だったというだけの事。
『逆』 だったらおまえもそうしただろ?
 だから――
 死んでねぇんだから、何もかも悪いように受け止めるな。
『恋人』 なんだろ? オレはおまえの。
 だったら信じろよ、腕の一本や二本でガタガタ言わねぇよ。
 おまえがそうされたら相手はブッ殺すけどな。
「……承太郎、承太郎、承太郎……!」
 引きつく嗚咽を無理矢理抑えながら、少女は何度も彼の名前を呼んだ。
 こんな戦場の、どうしようもない絶望のなかでも言いようの無い多幸感が身を包んだ。
 どうしてそんなに強いのよ? どうしてそんなに優しいのよ――!
 私、何もしてあげてないのに。それなのに、ワガママ言って、すぐに怒って。
 それでも、大事にしてくれるの? 大切に、想ってくれるの? 
 どうして? という疑問は握り締めた拳に潰された。
 もう理由は、どうでもいい。正しいかどうかすらも、どうでもいい。
 いま、幸せ。
 アナタに想われて、幸せ。
 なら、この気持ちを奪おうとする者は、
踏み躙ろうとする奴は、誰で在ろうと――!
「「ブッ潰すッッッッ!!!!」」
 二人の声が重なった。
 言葉を交わさずとも、心が通じていれば感情も同調する。
 もう過程や現状は問題ではない、ただひたすら生き抜くために。 
 ただ、信じる者の為に――!
「さぁ、いつものように二人でブチかまそうぜッ!」
「了解ッ!」
 後方から迫るは、魔の霧、そして、怒りの狂獣、満身創痍のこの状態では、
否、万全無傷の状態で有っても向こうは(能力の)相性が良過ぎ、
此方は悪過ぎる。
 だがそれでも、二人は身を翻した、
ビルの屋上を足場に迫り来る災厄に眼を向けた。






“見つめ合っている二人より、同じ方角を見つめている二人の方が遥かに強く結ばれている
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