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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第七十七話 私たちはとことん抗って見せます!あなたの書いた筋書き(シナリオ)そして運命に逆らうことができるのならば!!
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て一切の救いの手を差し伸べなかった。
また、結婚もそうであった。自分の息子娘との相手が帝国からの亡命者だとわかると、手のひらを返したように冷たく当たり、別れさせる親は多数いたのだった。

 カロリーネ皇女殿下もアルフレートも、こうした現状を見るにつけ、しまいには吐き気すら催したのであった。首都星ハイネセンの貧困地域の約8割が帝国からの亡命者で構成されるという事実を見ても、帝国からの亡命者の居住分布が点在ではなくある程度固まっているという事も、この事実があながち嘘だとは言えないという間接的証拠である。
独力でこうした運命を切り開ける者もいないではなかった。自由惑星同盟における大手運送会社の「スターライン」のレクセンベルク社長などはそうした成功者の一人である。だが、大多数の人間にとって、運命にあらがうにはあまりにも非力すぎた。

 自由の国、自由の権利を謳歌できる国と銘打ち、その国に希望を託してやってきた結果がこれでは、絶望しない方がどうかしているだろう。

 唯一の彼らの道が軍隊に入ることであった。それも一般兵として「捨て駒」として前線に立たせられるのであり、士官学校に進める人間は「生粋の自由惑星同盟人」に比較するとずっと限られていた。これら自由惑星同盟の政策はそのような袋小路に鼠を追い込む猫さながらのものだった。

 カロリーネ皇女殿下もアルフレートもこれまでそうした風雨にさらされなかったのは、彼らが政治的な利用価値がある高位の帝国貴族だったからかもしれない。

「だから私たちは逃げることはできないのよね。皆の思いを背負って戦い続けなくちゃ道は開けないんだもの。」

 ある時、カロリーネ皇女殿下はアルフレートにそう言ったことがある。こうしたことを言うようになったという事は、カロリーネ皇女殿下も「転生者」としてではなく「この世界に生きる帝国からの亡命者」という立場を受け入れたのだとアルフレートは思った。
「シトレ司令長官閣下に直訴してみるわ。」
ウィトゲンシュティン中将が言った。
「私たちを前線に送り出してください、と。後方にいて座していてもいずれは私は第十三艦隊の司令官職を追われる。そうなれば、生粋の同盟軍人が入り込んでくるかもしれない・・・・。」
「さぞいい御身分でしょうな。奴隷のように使役しながら、自分は金のベッドで美女の腕枕で過ごすのですから。」
「シェーンコップ大佐!!」
ウィトゲンシュティン中将が叱責した。その叱責には悲痛な声音が入っていたから、さすがのシェーンコップもそれ以上は何も言わなかった。

1時間後――。

 宇宙艦隊総司令部に赴き、シドニー・シトレ大将と面会を許されたウィトゲンシュティン中将はその30分後、蒼白な顔でオフィスを出てきた。思わず周りの者が声をかけようとするほどの憔悴ぶりだった
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