35舞と名雪
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科者に近い術者だが一応血筋は倉田の分家で、家も経済的に潤っているとは言い難いので、金だけで一騎当千の兵士を身内にできるなら安いと思えた。
「わ〜、一弥くん付きのメイドさんだって、坊ちゃまとかご主人様〜って言わないといけないんだ」
(やめてよ爺や、栞ちゃんは友達だよ、雇わないで)
「はっ、畏まりました」
心の声が漏れないように訓練しているはずが、何かを読まれてメイドとして雇いたがっているのを知られた。先ほどのビデオを見ても、右手の魔物付きなら水の精霊化しているのかも知れない。
「天使くんと一弥くんは、私の守護天使だもんね〜」
(ね〜)
異様に仲が良いのにも驚かされるが、これだけの呪いの中でも平然としていられる胆力や体力にも驚かされる。
「みんな具合が悪そうだよ、やっぱり私が一弥くん抱えて走って追いかけようか?」
(そうしようか、止めていいよ、爺や、まだ血圧とか腰とか悪いんだろ?)
「いえ、お気遣いなく、お客様を走らせるなど、とんでもない」
怒って一弥が魔物化すれば車ごと壊れるが、今はそこまで機嫌を悪化させる者はいない、美坂の娘がいれば楽しそうなので、是非家にも来て欲しいと思った。
(じゃあ、爺やも若返らせてあげるよ、不老不死は無理だろうけど、血圧ぐらいは治してやれるよ)
「は?」
その意味は、一弥の使い魔か精霊が自分に宿り、お嬢様や栞、天野の娘のように体を改造して貰えるらしいが、支配された身ではお館様を守れるかどうか定かではない。
(ああ、もう分かったよ、あのクソジジイが何か言っても、爺やが殺すなって言うなら殺さない、だから若返ってよ)
「くおおっ!」
一弥に何かを押しこまれ、小規模ながら再生の魔法や体の年齢を書き換えられる爺や。
(そうだよ、爺やが心配してる通り、相棒、天使の人形はやるつもりだ。腐った奴らを皆殺しにして、弱い者も馬鹿も死なせる、ちょっと改造するだけで長生きできる奴や、聖人みたいな人を残す、他の奴らはみんな生け贄だ、爺やもその地獄を見てからにして)
楽には死なせてもらえないようで、これから起こる地獄を見せられ、お嬢様と一弥様の血みどろの争いもたっぷり味合わされるらしい。長生きはするものではないと思う爺やだった。
栞の家の下。
車が到着し、一旦降りようとする栞だが、思い直して爺やに話し掛ける。
「あの、一弥くんが心配なので一緒に付いて行っていいですか? これだけ置いて来ます」
(いいよ、もう遅いし帰った方がいいよ、また明日ね)
「だ〜め、絶対何かするつもりでしょ?」
料理やケーキを持って降りる栞だが、これから一弥が起こす惨劇を予想して、倉田家に同行を申し出る。
「どうせお爺さんも殺さないだけで、「死んだほうが楽」にするんでしょ? 他の人だって爺やさん以外は支配してロボットみ
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