35舞と名雪
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も恨まれ、佐祐理も含め祖母を愛していた全員から疎まれた日々、自分の死の直前まで続いた迫害は忘れられなかったらしい。
「お許し下さい、お館様も奥様を大事に思っておられたのです。奥様も一弥様にお命を譲られ、本望だったと思います、どうかお許しを」
(ほんの一、二年寿命が伸びて苦しんだだけで、あの扱いじゃ割に合わないね、でも、今日はお姉ちゃんがここに残るんだろ? だったら家に帰ってやるよ)
母とも一応再会して、倉田の当主にも合って当時の恨み言でも言うか、まだ偉そうに言うなら殺してやろうと思う一弥。
「左様ですか、それでは車をご用意しますのでお乗り下さい、皆様一弥様のご帰還をお喜びくださるでしょう」
部屋の片付けは大半が終わり、メイドや少女たちも手伝ったので、パーティーグッズもホットプレートの撤収も終わって引き上げる倉田家の面々。
名雪の部屋。
「…名雪、辛かった? 苦しかった? じゃあ、そんな物は捨ててしまえばいい、私が受け止めてあげる」
悲しむ名雪を見ていられず、自分と同じように悲しみの心も苦しみの感情も捨てるように言う舞。
純血の妖狐が出す精霊を受け入れられるかどうかは分からなかったが、多分今の自分なら、その入れ物の役目を果たせると思えた。
「え? だいじょうぶです、わたし、人間の体はお母さんと同じ入れ物を使ってるんだと思います。でも中身は違うはずです」
もう舞に壁ドンされて追い詰められ、今にも唇だとか色々奪われそうな名雪。
心の声からも祐一との血の繋がりを聞かされたが、自分とも血の繋がりがある姉のようにも思えた。
様々な疑問にも秋子のような人語とは違う人類ではない思考で答えられるのと違い、舞の心の声は人間の言葉で考え、名雪の疑問や間違いにも人語で答えた。
「…うん、体は似てる、秋子さんは自分を産み直したのかも知れないし、別の自分を違う所から呼んだのかも知れない。でもこれからは名雪が選べる、秋子さんと祐一が結ばれたのなら、空白だった貴方のお父さんを祐一にもできるし、祐一や私の父親と同じにもできる。祐一の妹と娘、どっちがいい?」
珍しく饒舌な舞に、異次元の会話をされるが、何故かその意味を理解してしまえる名雪。
舞と姉妹になれるのは嬉しかったが、祐一を父親にして恋人としても暮らすのには抵抗があった。
「えへっ、祐一がお父さんなんて何か変ですね? 妹になるのも違う気がします」
「…そう? 迷ってるなら後から決めるといい。時間は波、粒子も何もかも私達が選んだ後で決まる物。名雪や祐一は五次元の存在、時間も距離もあまり関係ない、でも私は半分この場所に繋がってるから動けない」
短時間だが三体の精霊化した魔物が揃った時に得た、人類が知ってはいけない知識。
それを自分の妹の可能性が存在する物質に伝えるが、名雪が否
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