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KANON 終わらない悪夢
35舞と名雪
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病気なのにね?」
(それはヘビーだね)
「それで完全に引きこもりになるとね、一日一食かアイスクリームしか食べられないからね、28日分の薬を84日に引き伸ばして飲むんだよ。もう病院の先生大激怒だったけど「うち貧乏なんです」って言ったら難病指定とか色々探してくれたし、それから支払いが安くなったの、本当だよ」
(…………)
 魔物にさえヘビーすぎる話してドン引きされる栞。一弥の母も、美坂家では産まれさせたくないと思い、どうにか佐祐理と仲直りしてくれないか願った。
「絶対佐祐理お姉さまの子がいいよ、給食費払えなかったり、お金が無くなったら私のせいにされるし、遠足でもおやつ買えないし…」
(もうやめてっ!)
 一弥の心のライフがゼロになったので、ガリガリと心を削る栞の言葉を泣いて遮る。魔物でもヒットポイントが低い回路が存在した。
「ほら、今日のご馳走だってね、回転寿司しか食べたことが無かったから、あれが本当のお寿司だって初めて知ったの。ロブスターとかローストビーフもね、芸能人だけが食べるテレビの中だけの架空の食べ物だって、お母さんに言われて信じてたんだ。チョロインさんも回転寿司の後、親子心中だと思ったって言ってたけど、うちもお父さんが「ステーキ食べに行こう」って言った時は、私もお姉ちゃんも覚悟したよ」
(もう許して……)
 今度は上級国民様が、プロレタリアートの蟹工船な生活を聞いて涙する番だった。
 一弥の母も政治の無力さを知り、本当の庶民の言葉を聞いて涙して、明日からの活動に力を入れようと思った。
「今は佐祐理さんがお姉さまだからブン殴れないけど、一弥くんをイジメた分ぐらい「目を覚ませ〜っ!」って言って往復ビンタして、顔が倍ぐらい腫れ上がる程度ならして上げるよ」
(うん、それは楽しみだよ)
「ヘッヘッヘ、相棒、金持ってるんだろ? どうだい、物は相談だ、一回三千円ぐらいで仕返ししてやるよ? なあどうだい? 金は天下の周り物って言うだろ?」
 ヤンキー座りで背中をペチペチ叩かれ、なまら生々しい金額、それも妙に安い金額を出されて泣く一弥。
(それ以上栞ちゃんのイメージを壊さないでっ)
「え〜? お金さえあれば何でもできるんだよ? ほら、さっき爺やさんが言ってた、メイドに雇いたいとか、時給千二百円でどう? 高い? じゃあうちのお姉ちゃんとセットで時給二千円でどう? 二人でメイド服着て「ご主人様〜」って言って耳かきして「ふ〜〜っ」ってしてあげるよ? それに一緒にお風呂で洗ったりとか、抱っこして寝るとか、お金があったらもっと色々命令できるんだよ」
(うわ〜〜〜んっ!)
 まだ精神が子供だった一弥は、穢れた話を安すぎる金額で切り出されて泣いた。二十四時間働いても、さっきのローストビーフ一本も買えず、ケーキ屋でもピザのレストランでも門前払い、あ
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