35舞と名雪
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いと思っていたのまで見抜いて話した栞。
「それでは夜道の一人歩きは危のうございますから、車でお送りします」
爺やが提案したものの、夜間の無敵状態の栞に関してその心配は無用だった。
ただ、中国マフィアでも生き残っていて、両親が襲われて生皮を剥がれ、下から竹で刺されて半死半生で転がっているかもしれないので、電話でもして生存を確認してみることにした。
「すいません、ちょっと電話をお借りしてもいいですか?」
「ええ、どうぞ」
美味しい料理を食べて、少し人間らしい表情を取り戻していた栞だが、もし両親が死んでいても、人間だった頃のように悲しくはない。
まず天使の人形がそんな事を許さず、一弥もいるが、血まみれの死体を見ても眉一つ動かさず、冷静に匂いや動きを追って、全員を凄惨な殺し方で始末する覚悟もできていた。
「もしもし? お母さん? 良かった。 今、秋子さんの家にいますけど、これから帰ります、はい……」
話したいことは山ほどあったが、手短に電話を切って終わらせる。テレビの音なども聞こえていたので父も無事なのを確認した。
「皆さん、うちの両親でも無事だったみたいですから、帰っても大丈夫そうですよ」
「え? ええ」
そう言われても、何かあっても生身で生きて帰れるのは舞か栞だけ、自分たちには無理な相談なので生返事で答えた。
「それでは残った物は冷蔵庫に入れておきましたので、明日の朝食か昼食にでもお楽しみ下さい。ケーキは入りませんでしたのでお早めにどうぞ」
栞はローストビーフと焼豚の半分くらいが冷蔵庫に入ったのを見た。例のジュースも2,3本入り、プリンに至っては十個近く残った。テーブルにはピザが一箱、店長力作のホールケーキも半分近く残っていた。
(栞ちゃん、ここにいるよ)
そこで一弥に話しかけられ、庭の方を見た。
「お姉さま、一弥くんが来てます」
「えっ? どこですか? 一弥っ?」
佐祐理の余裕の表情が一瞬で崩れ、爺やも一弥の来訪に驚いた。
「庭先まで来てますけど、名雪さんがいるので入れません」
「くっ」
また名雪を苦々しげに見たが、舞に懐いているようなので、二階に連れて行くように頼んで見る。
「舞、その子を連れて行って頂戴」
「…うん」
ちょっとでも運動して胃に隙間を開けようとした舞だが、何故か股間が膨らんでいるのに気付いた。
「…?」
「舞、それどうしたんですか?」
それは祐一の中に潜んでいた胴体が、毎日のように祐一の右手で股間を擦り倒されたり、しごかれて抜かれたので、重なった部分である「栗と栗鼠」が巨大化してしまい「穢れたバベルの塔」が建設されてしまったのを、胴体の魔物が置き土産として舞本体に残していった物だった。
「…大きくなってる」
それは佐祐理とか名雪みたいな癒し系の女の匂
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