35舞と名雪
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パーティーと称して、上級国民様だけが飲み食いできる品物を出すと、栞も美汐も祐一も舞も秋子まで陥落した。
ジジイの思惑通りに高級食品の虜になった一同は、「この食べ物は人間の作ったインフラと職能が存在しないと食べられませんよ」と叩きこまれ、秋子のように平気で人類滅亡を考えるような輩にも人間の重要さを思い知らせた。
沢渡真琴を名乗る妖狐は子供過ぎて、寿司を吐き出しローストビーフより生きているウサギの方が美味いといったが、天野の娘に「少し、頭冷やそうか……」とレイプ目で言われて倒された。起こして安物のケーキとプリンを食べさせれば満足すると思われる。
出生の秘密などを知って、二階でドナドナを歌っていた名雪も料理に満足し、ご機嫌が直った。
第三十五話
舞は佐祐理が大半を残したケーキと格闘していた。もう胃袋には隙間など無かったが、どうしても口に入れろと脳から命令が出て、胃の内容物を腸に押し込み次第、ケーキを投入していた。オレンジジュースを飲むたび卒倒しかけ、パインジュースを飲むと泣いた。
栞も一旦帰って天使の人形と話すか、両親に残り物を持って帰ってやりたかったが、目の前の敵対者達が許すはずもなく、どうにかして「自分の腹」に収める方法を考え、マッスルボディと小宇宙を全力で萌やし、胃袋に隙間を作ろうとした。
(ふぬおおおおっ、どうやって詰め込むのか? 考えろ、考えろ)
「今日、これからお帰りになる方はいらっしゃいますか?」
爺やが片付けに入る前に聞かれたので、洞察力の鋭い栞は「お土産が貰えるのでは?」と考え手を上げた。
「両親にも泊まりになるとは言ってませんので、そろそろ失礼します」
「左様ですか、ケーキでもお包みしましょう、ご自宅には何人いらっしゃいますかな?」
栞は「計画通り!」みたいな顔をしてほくそ笑み、もちろん偽の人数を伝えた。
「両親と「姉」それと、天使くんと一弥くんも来るかもしれません」
ライバル達は、そんなたわ言を信じなかったが、佐祐理は一弥と聞いただけで許し、爺やもケーキを五個切り分け、プリンも五個、ローストビーフや焼豚、他の食品も別の紙箱に取り分けた。
(((((((栞、恐ろしい子)))))))
両親の分はともかく、香里や天使の人形の分は自分で隠匿して食べると思われる栞。
しかし、美汐と月宮の一同はこの家を出て帰るとタヒぬ。残党に帰り道で襲われて、機銃掃射でも受ければ助からないので「帰る」とは言えなかった。
(…私も?)
母親に何か持って帰ってやりたい舞だったが、佐祐理が心配で帰れない。策士がケーキやプリン、その他を持ち帰るのを見守った。
「舞お姉さまのお母様にもお届けしましょうか?」
「…え? うん」
どの状況で察したのか、舞の家族は母親だけで、お土産を持って帰ってやりた
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