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KANON 終わらない悪夢
34パーティー
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られている。しかし東側のソ連兵に開放された者達は、本当の飢餓を知っているロシア人に、スープかシチューしか与えられず生存した確率が高かったと言われている。
「へっ、そんなスゲエもん、急に食うからだ」
 戒律を守り切って10年以上生臭物は一切口にしなかった少女と、カップ麺を盗み食いして牛脂、豚脂、グルタミン酸を吸収していた女の差が出た。
((ライバルが一人減った))
 月宮一行から一名の脱落者と、頑として肉を食べず、未だにアスパラガスとサラダを齧っている草食系のウサギがいたが、目の前からローストビーフとヤキブタが下げられ、他の二人に捕食された。
 祐一も泣いていた、美汐も泣いていた、舞も泣いていた、例の二人も殴り合ってローストビーフと寿司とヤキブタを取り合って泣いていた。
 さっきから偉そうに言ったり、特上寿司を吐き出した沢渡真琴は、美汐か秋子に倒されて眠っていた。後で謎ジャムでも入った食品か、子供の口が喜ぶ甘く安い、赤とか紫色のゲテモノの食物を腹に詰め込まれるのに決定したらしく、おとなが楽しむ食品を食べる権利は無いと認定された。
「ピザなども御座いますよ、宜しかったら取り分けいたします」
 栞は「白いご飯を下さい」と言いたかったが、残念な子として扱われそうだったので、ピザをご飯側の炭水化物として扱い、ローストビーフや焼豚をおかず側にして食べようとした。
(うひいいいいっ!)
 栞が今まで口にしていた冷凍ピザや、トースターで焼く「とろけるチーズ」などは、石油から加工したゴムやプラスチックの親戚だと気付かされた。
 普通の宅配ピザだと思って口にした物は、イタリアンレストランが宅配しているもので、上級国民様限定の会員制で「一見さんお断り」の店だったが、大して値段に差がないのに本物のチーズやトマトが使われ石窯の炭火で焼かれていた。
(もう騙されない、もうこれ以上は……)
 栞の動物的な勘をも狂わせる、普通のピザを装ってまで口撃してくる佐祐理のイジメ。
 そう、これはもう、上級国民様が下層のゴミクズを見下げ果てるための儀式で、生活水準の差を見せつけるために行われているイジメなのだと思い始めた。(被害妄想)
 屈折しまくったド底辺の舌を持った下層国民は、巨大化して上から見下ろして「オホホホホホ」とか笑っている佐祐理お姉様の幻影を見上げて、ロックで大政奉還させてやろうと決意した。
 祐一も泣いていた、美汐も泣いていた、舞も泣いていた、例の二人も「ピザはデブでも食ってろ!」と罵り合いながら泣いていた。そこで阿片的な美味を口から洗い流すために、紙コップに給仕されたオレンジジュースを口に運んだ。
(ぎゃあああああああっ!)
 それはデパ地下で季節100品限定で売られている100%ジュースで、上級国民様専用の、さらに百貨店の外商がお得意様用に確保
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