34パーティー
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なく、産業革命が起こっていた。四輪作が開発され、麦以外に豚の餌になる作物も休耕地で生産され、新大陸からジャガイモがもたらされ、裕福な農村でも四人に一人は餓死していた時代が終わり、クズ野菜や藁で牛を飼い、ミルクも飲んでチーズなども生産する。そんな豊かな農業の革命から、牛肉を数時間掛けてゆっくりローストしたり、表面だけ焼き上げて中はジューシーな肉汁を逃さないまま調理する技術も自然発生的に生み出された。
掛けられていたタレも絶妙だったが、皿に乗っていたマスタードソースが大人の味で、ピリ辛で肉に合って意識を奪われた。
先ほど感じた罠の感触は大当たりで、栞のド底辺で貧乏な口は、佐祐理お姉様の繰り出す口撃に耐えられず、この高級なエサを貰うためなら、お姉様の奴隷になっても構わないと思い始めていた。
復活した祐一も泣いていた、美汐も泣いていた、舞も泣いていた、例の二人も抱き合って喜んで泣いていた。そんな幸せがさっき食べた半分と残り三枚しか残っていない。しかし裏切り者もいた。
「ねえ秋子さん、これだったら生のウサギの肉のほうが美味しいよね? 生きてるのを捕まえて、新鮮な所をガブっと」
「ええ、まあ」
秋子は20年も前の食事を忘れたのか、曖昧な答えをしていたが、もう人間の口では生々しい血の味がするウサギは楽しめず、ローストしてソースも掛かった食べ物に夢中になっていた。
(お前にロースト何とかを食う資格はねえっ!)
真琴の皿に乗った三枚を強奪したかったが、さらに焼豚も給餌?され、また第六感が「これも罠だ! 食うな!」と叫んでいたが、既に闇堕ちした栞は焼豚も食ってしまった。
(んほおおおおおおっ!)
これも今まで栞が食べていた「ヤキブタ」は偽物で、これこそが焼豚なのだと思い知らされた。自宅で母が作ったラーメンやスパゲティに混ぜられる、激安スーパーで買える程度のヤキブタかさらにその細切れ、それは病死肉か捨て値の安物か、上級国民様が口にする品が期限切れなどで落ちてくるB級品で、スカスカのカスカスで脂身が抜けるか、脂肪を注入した偽物のギトギトしか無い。死ぬ前に本物が食べられたのを幸いと感じ、こんなエサをくれるお姉様に一生付いていこうと心に決めた。
祐一も泣いていた、美汐も泣いていた、舞も泣いていた、例の二人も殴り合って夢ではないかと確認しながら喜んで泣いていた。
「わ、私も食べるぞっ、グハッ」
我慢できなくなって、付き人も口にしたが、栞のようにふっ飛ばされて、「お口の中で産業革命や〜」が起こり、昏倒した。
「どうしたの? 大丈夫?」
第2次大戦でホロコーストが起こり、終末収容所にいたユダヤ人が開放された時、西側で米軍に開放されたものは、多くの食料を固形のまま与えられ、胃痙攣や食べ過ぎなどの症状を示し、折角開放されたのに多数が亡くなったと伝え
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