34パーティー
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が、栞の悪鬼羅刹のような顔に気付いて自粛した。
「はい、真琴も何か言って」
「え? 帰って来れた、また秋子さんや祐一と一緒に住める、美汐とも遊べる。はい、終わり終わり」
頭もユルく人見知りする真琴が早々に打ち切ってしまい、秋子に回さなかったので、この十数年の思いや、ついに運命の相手と結ばれて「21歳にしてとうとう男性と初体験して処女を失い(娘に遅れること2ヶ月)」力は返してもらえなかったが子供を授かりそうで、途中にも「秋子っ」とか呼んで貰ったり「初恋の相手だったんです」とかリップサービスしてもらって嬉しかったとか、ガバガバの太平洋女と呼ばれずに済んだとか、やっぱり処女再生手術と膣内の締りを上げるよう縫合手術を受けるべきだったとか、次は名雪も押さえ付けて親子丼で出しますねとか、今日は私も記念日なんですよ、ちゃんと聞いて下さい、と言いたかったが、心の声が聞こえた連中も、舞は無視、佐祐理は大人の対応をして叔母と甥がパコパコやったのにはノーコメントを通し、月宮真琴は相手が怖すぎたのと、祐一を責めて愛情を失うと命も失いそうなのでコメントは控えた。
「さあ、皆様、急ごしらえですが、オードブルもお召し上がり下さい、何かお嫌いなものはございませんか?」
すぐに調理できたトリやエビの唐揚げなどが並び、ポテトや野菜で飾られたオードブル。ベジタリアンな四人の説明を忘れていたので、サラダボウルから野菜を取ったり、アスパラガスを齧っている四人、しかし血に飢えたケダモノが二人、寿司から目が離せなくなった。
「食うぞ、アタシは食うぞ、見やがれ、このトロの分厚さを、お前らだって回ってない寿司なんか見たこと無いだろ?」
「昔、お母さんに回転寿司に連れて行ってもらったことがあるの。でも、その後は一家心中なんだろうなって思ったら喉につかえてむせちゃって、ろくに食べられなかったの」
涙声で悲しすぎる寿司屋あるあるを聞かされ、「そこまで貧乏くさい話し、ね〜よっ!」と突っ込みたくなったが、最期の贅沢が回転寿司、その後は親子心中という酷すぎる話を聞いてしまい、適当に相槌を打って流した。
「お前は隠れてカップ麺とか菓子類を食べてるだろう、しまいに術が使えなくなるぞ」
「いいんだよ、これからは妹ちゃんとかお姉さまみたいに全部無詠唱で使える、お前も食え」
座古と緒路院さんは分厚いトロを醤油につけ、口に運んで涙を流した。
「ちきしょう、このわさび、目に来やがるぜ」
「本当、私、何で泣いてるんだろう」
貧乏な二人を見て気の毒に思う栞だったが、何故か自分も元クラスメイトも涙を流しているのに気付いた。
今まで月に一度の贅沢な外食がファミレスか回転寿司で、マグロだと思い込んで食べていたのは別の代替魚のさらに切れ端でしかなく、いま人生で初めてトロを口にして、これこそが本当の寿
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