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KANON 終わらない悪夢
34パーティー
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家や母の命令とかじゃなくて、現人神の王子様と結ばれて幸せです」
 自分の初恋は違ったはずだが、都合が良いように記憶も書き換わっている女。結局ステイタスが大事で、王子様だの神だの貴族だの、誇れる身分が無いと鼻も引っ掛けないクソ女。
「私は、弱い自分が嫌でした、でも強くなれそうです。母も病気で、教団に拾ってもらわなかったら死んでました。でもこれから強くなります、相沢くんとも結ばれて幸せになります」
 チョロインさんは、どう見ても心が弱いままで、これからもずっと不幸で、苦労だけしそうな少女の見本を見た一同だが、気の毒すぎて本当のことは言えなかった。
「アタシは、これから使い魔が入った自分の心と体の変化を記録して、伝承のページを増やす。里のババアに送れば残してくれるはずだ。そうだ、お前らも記録してくれ、何でもいい、細かい変化も全部書いて残してくれ、頼むっ」
 祐一と結ばれたのは記念でも何でもないのか、特に発言しなかった座古。それより伝承が気になり、友人たちにも記録を頼んだ。
「分かったから離せ、記録しておく。私は今、炎の精霊に焼かれて、弱い部分が燃やされている所だ。生き残った強い部分だけ再生されて増やしている。先ほど、お姉さま方や相沢に忠誠を誓って身を捧げた所だ。この身にも主君と仰ぐ人物ができた、好ましい。私の家はすぐに死ぬ家系だが、そこからも逃れられるかもしれない」
 付き人の少女も、強くなれる身を喜び、仕えるべき人物を見つけ、すぐに病死する短命で呪われた家系から開放されるのも喜んだ。一生恋愛などする予定は無かったが、祐一との関係は「主君だ、夜伽は一度だけ務めた」と言い張るらしい。

「え? 私ですか? そうですね、恋人で婚約者の人が朝から浮気して、二時間目の休み時間に登校して来たと思ったら女連れで、ちょっと逆らったら「使い魔が入ってる」な〜んて言われて殺されそうになって、お腹に子供がいたかもしれないのに膝蹴り、右手血まみれにされて血を抜かれて、舞お姉様にも木刀でぶん殴られて、真琴さんに首から心臓に刃物突き立てられて死ぬとこだったんですけど、何とか助かったと思ったら右手の魔物、いえ、リミッター外されてしまって、目が覚めたら祐一さんがいたんで、傷口に塩コショウとマスタードが入った爪を差し込んでたんですけど、緒路院さんが来て喧嘩になって、その上祐一さんと嬉しそうに逃げたじゃないですか、だから怒って追いかけて座古さんと舞お姉様をぶっ飛ばして、あ? お姉さま、階段の天井に貼り付けちゃってごめんなさい」
 栞の恨み節が延々続いたが、手にとった紙皿や紙ナプキンが紙の自然発火点を超えたらしく、ブスブスと煙を立てて燃え始めた。
 舞も普通人に対して持っていた無敗無敵伝説がついに破られ、栞に一度敗北したのを認めて苦笑いしていた。
「三時間目の休み時間は停戦に
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