34パーティー
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っ、もう許してっ)
(う、ま、い、ぞ〜〜〜〜っ!)
(ドドンガ、ド〜〜〜ン)
関西の食通のように泣く者、味皇様のように口からビームを吐く者、頭から火山を噴火させる者、口の中でとろける肉を食ったことが無いド底辺の者は、その場で倒れた。
そしてローストビーフと焼豚と寿司とピザとステーキを食った名雪は、ご機嫌が真っ直ぐになり、いつもの笑顔を取り戻した。案外子供で安い女であった。
「パンも御座いますよ、如何ですか?」
バターと本物のメイプルシロップを練り込んで焼いたパン、これも上級国民様にしか手にできない品で、トースターで焼いただけで信じられない美味になり、本物のバターやジャムを塗るとさらに人間を堕落させたが、一人だけ謎ジャムを塗りたくって食べる女もいた。
「お次はロブスターとホワイトソースの焼き物でございます」
もうパーティーの軽食やオードブルでは無く、全員を堕落させ、佐祐理お嬢様に従わせるためのエサだったが、ついに秋子も倒れた。
「デザートにはケーキとプディングをお持ちしました」
ホテルや高級菓子店が閉まっていたので、テレビで名前を売った店に発注し「倉田様に納品できるなら今後の仕事も」と店長自ら残業し、材料費に糸目を付けず焼き上げた逸品が給仕された。
プリンもスーパーで売っている卵すら入っていない偽物ではなく、ケーキ屋の冷蔵庫にあった全てをサービス品として配達した。
「もう食べられないのに、体が言うことを聞かない」
「もう許して」
バケツプリンを製造したことがある秋子も、このプリンやケーキの魔力には抗えず、ついに「この品々はどうやったら買えるんですか?」と縋るような目で爺やに聞いた。
勝利を確信したセバスチャンも、特に勝ち誇ったりはせず、全ての食品の購入方法をメモ書きして渡し、自分の仕事に満足していた。
(パーフェクトだ、執事よ)
佐祐理はどこかのヴァンパイヤか、その主人の貴族のお嬢様のように、執事の仕事に非常に満足していた。白いご飯も食べず、いつでも食べられる特上寿司もステーキも他の娘や舞に譲り、安物で甘いだけの庶民味ケーキが口に合わなかったので食後のコーヒーを楽しんでいた。
もちろんコレも、現地通貨では1キロ4ギルというゴミ同然の価格だが、山賊が出るアフリカのインフラも何も無い高地から持ち出し、ヨーロッパに持ち込めば末端価格が金や麻薬と同じ値段に変化するコーヒー豆で「フェアトレードって何ですか?」と言う、格差社会や世界の縮図を一筆書きで描いたような豆だった。
その頃の北川一行。
場末のカラオケ屋で泣き叫び、もし火事が起きても、逃げ場もなければ消火設備も排煙設備もない、腐った古いペンシルビルにある格安カラオケ屋の一室に収まっていた一同。
原価1円ぐらいの濃縮還元ジュースに、さらに氷を入れて
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