最後の一人
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でパッとあだ名が出てくるとは・・・すごいんだか変な人なんだか判断がしづらい。
「俺、男なんですけど・・・」
「え!?そうなの!?」
この上ないほどに驚愕の表情を見せた後、間違えてごめんと謝罪をしてくるリュシーさん。いいんだけどさ、もうお決まりのパターンだからさ・・・
「いやぁ、なんかみんなを見てると妹を思い出すんだよねぇ」
「妹・・・ですか?」
気まずくなったからか強引に話題を変えようとしてくるのはいいんだけど、ここで妹の話する?ますます女の子扱いされてるみたいでテンション下がるんだけど・・・
「うん。たぶん生きてれば15になるはずだから、アンアンと同じくらいかな?」
「生きてれば?」
妙な単語に嫌な予感が脳裏を過る。ちょっと嫌な汗を額に感じていると、リュシーさんは平然とした表情で話し出す。
「ずっと前にね、死んじゃったんだ」
その言葉に思わず押し黙る一同。予想してはいたけど、改めて言われるとかける言葉がなくなってしまう。
「あ!!ごめんね、変な話しちゃって」
「いえ・・・」
「私たちこそすみません・・・」
重たくなった雰囲気。しかし、リュシーさんはそれを変えようと会話を進める。
「あ〜あ、みんなが妹になって・・・あ、一人男の子か」
「俺がいじられるのか!?」
ポンポンと頭を叩きながら大笑いしている彼女とそれに釣られる俺たち。でも俺は心穏やかじゃないぞ?結構ダメージ受けてるぞ?
「あ、もう私行かないと」
「え?もうですか?」
大笑いしていたかと思ったら、リュシーさんは突然立ち上がって立ち去ろうとする。さっき来たばっかりなのに、もう帰っちゃうの?
「ここにはちょっと立ち寄っただけだからね、もう船が出ちゃうから行かないと」
どうやら観光ではなく単なる寄り道で来ただけらしい。もう少しお話ししていたいけど、船が出ちゃうなら仕方ないか。
「今日はありがとね、おかげでリフレッシュできちゃった」
「あたしたちも目の保養になったね・・・」
「キレイだもんね・・・」
「羨ましいです」
彼女に聞こえないほどの声でゴニョゴニョとお話ししているシェリアたち。そんな彼女たちを尻目に、リュシーさんは手を振って立ち去っていった
「リュシーさんの妹か〜」
「なかなかキレイな子になりそうよね」
もしその子が生きていたら、一体どんな女性になっていたのだろうか。きっと彼女に似た黒髪のキレイな女性になっていたんだろうなぁ。
「シリル!!」
「は!!はい!!」
妄想に入り浸っていると、後ろから殺気の混じった声が聞こえ背筋が伸びる。その声の主の方へと振り返った俺は、冷や汗が止まらず体が震える。
「あんまり変なこと考えないようにしようね?」
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