修行開始
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「え!?手前の木を倒さないで!?」
あまりの提案に目を見開くシェリア。普通なら木を一度の攻撃で何本倒せるか、とかやると思うんだけど、それだとただ威力を上げているだけだと思う。対してこれなら、手前の木を避けつつ奥の木を一本だけ倒すから、コントロールと瞬発的な力が上がって、結果的にキレがよくなると思います。
「とりあえずやってみるね」
「うん!!」
満を持して右手に魔力を溜めていくシェリア。狙うは自分の正面にある木の真後ろにある木!!
「天神の北風!!」
勢いよく放たれた黒い風。でも、それは手前の木こそうまく避けることができましたが、その後ろの木にも当たることなくすり抜けていってしまいました。
「む・・・難しい・・・」
悔しそうに顔を歪ませる少女。提案した私が言うのもあれだけど、これ、かなり難しいんじゃないかな?
「ごめんウェンディ!!あたし、これできるまでやってていい?」
「もちろん!!私も今は感覚を高めたいから」
技術を磨くシェリアとドラゴンフォースを身に付けたい私はそれぞれ別々に修行をすることにしました。まずはドラゴンフォースを解放できた時の感覚を思い出すために、魔力を高めてみようと思います。
「まずは空気を吸い込んで」
ゆっくりと深呼吸を繰り返した後、周囲の空気を一気に吸い込んでいく。たくさんの木々に囲まれたところだから、空気が澄んでいてすごくおいしい。これだけ美味しい空気なら、きっとドラゴンフォースを使えるヒントを得られるはず。
「スゥ・・・」
目一杯空気を吸い込んだ後、一度止めてから全身に魔力を流しつつ空気を吐き出す。
しばしそれを繰り返して魔力を高めていく。あの時のように・・・全身に力がみなぎるのを感じながら・・・
「ハアアアアアアア!!」
できそうだと感じたその瞬間、声を張り上げて魔力を一気に放出する。これで条件は整った!!ドラゴンフォースが解放できるはず!!
「できてる?」
「何も変わってないよ」
休息を取っているシェリアに今の私の姿を見てもらうと、彼女は不思議なものを見るように、何も変化のない私のことを見ています。
「おかしいなぁ、これでできるはずなんだけど・・・」
うまくできたような気がしていたのに、実際には何も起きていない。その後何度もやってみましたが、私に限らず誰もやりたかったことができず、その日を終えてしまいました。
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