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機動戦士ガンダム SEED C.E71 連合兵戦記(仮)
第7話 市街地戦突入
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あった。
その少女は、職人が技巧の限りを尽くして彫り上げた精巧な象牙細工を思わせる白い肌と肩まで伸びる金糸を思わせる美しい髪が特徴的であった。
赤い軍服の少女 ノーマ・アプフェルバウムは、ザフトのMSパイロットである。
アプフェルバウム小隊を率いる彼女が、この<リヴィングストン>に乗艦したのは、つい1時間前だった。
遭遇したユーラシア連邦軍の戦闘機部隊との戦闘で弾薬と燃料を予想外に消費したことで、付近にいた補給可能な部隊であるこの艦を有するファーデン戦闘大隊と合流したのである。
彼女の部下達は、<リヴィングストン>の正規パイロットが一人もいない待機室にいた。
「よろしかったのですか?」この艦と隊の最高権力者の座る椅子に対して放たれた少女の声には、小鳥のさえずりの様な繊細さと、薔薇の棘があった。
「ん?」
この時エリクは、煙草を口に含んでいた。
紫煙が空調の風を受けて揺らめく。
空気が有限で、コストと資源と多少の手間をかけて製造されるものである宇宙の生活では、空気を汚染する行為である喫煙は、一部の富裕層のみに限られた贅沢であった。
だが、空気が宇宙のコロニーやステーションから見ると無限に等しいほど自然に存在する地球上では、
基本的に禁煙エリアや潔癖症の政府が統治している地域を除けば、誰でも喫えたのである。
そしてこの地上の特権をエリクはフル活用していた。
無論地上でも任務中の喫煙は規則違反であるのだが、部下達も軽くたしなめる程度であった。
「何のことかね?アプフェルバウム小隊長」
大隊指揮官としての威厳を持ってエリクは隣に立つ若き小隊長に質問を返す。
「前線からの支援要請を断ったことですよ」
「仕方あるまい、この<リヴィングストン>の主砲では、友軍を巻き込みかねない」
エリクは教科書的模範解答で言い返した。
旧時代の戦艦に匹敵するリヴィングストンの主砲の威力は友軍をも巻き込みかねない危険性があった。そしてエリクはそのことを誰よりも認識していた。
「前線部隊は、郊外に展開していました。敵部隊は市内に潜伏しており、郊外には存在が確認できず、誤射の危険は皆無に等しかったと考えますが?」
年齢でも階級でも上位者の模範解答ともいえる論に対して、物怖じする素振りすら見せず、金髪の少女…ノーマは、自信に満ちた声で持論を述べる。
「…」
「アプフェルバウム小隊長、君は何故そこまで艦砲射撃に拘るんだね?」
「市内の地球軍を完全に叩き潰す為です。地球軍は、我々のモビルスーツ部隊に対抗するために、市内の地下空間や廃墟に潜伏し、我々が市内に突入するのを待ち伏せています。」
遺伝子操作によるものであろう端整な容貌を、無表情にして語る少女の口調には自信が満ちてい
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