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機動戦士ガンダム SEED C.E71 連合兵戦記(仮)
第4話 鉄巨人倒れる
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したそこは、黒煙が立ち上り、まるで地獄へと通じる穴の様に見えていた。
漸く最後のジンを撃破したと連合兵の一人が思ったその時、穴の縁に白煙を上げる機械の腕が現れた。
バルクのジンは地球連合側の二段構えの罠を受けてなお生き延びていた。
だが、無傷ではなく戦闘能力の過半を喪失していた。
騎士のヘルメットの様な鶏冠状ブレードアンテナが付いた頭部は、半分砕け、本来なら装甲によって保護されている紅玉の色をしたメインセンサーと破損した機械が剥き出しになっていた。
その姿は、墓場より這い出た幽鬼を思わせる不気味な姿であった。
「一人でも多く…」
バルクは、朦朧とする意識の中で、信号弾発射用のスイッチを探し求めた。それはNJ環境下で救難用に使用されるものだった。
だが、彼は、自身が生還すること等もはや考えていなかった。
立ちふさがる敵部隊がそれを許さないこと等認識していたし、何より自身の無能で部下を全て失った以上帰ることは出来なかった。信号弾を発射したのも別の部隊に警戒を促す為である。
半壊したジンは上空に向けて信号弾を打ち上げると、這いずる様に目の前の敵へ接近しようとした。
「まだ生きていたのかよ!?」
ゴライアスを着用した連合兵の一人が恐怖と驚きの混ざった口調で叫んだ。
だが、ハンスは気にも留めず、指示を出した。
「止めだ!」
次の瞬間、ジンのはるか前方の廃墟が爆発した。
空襲で崩壊したビルの基部に設置された大型対戦車ミサイルランチャーが火を噴いたのである。
元々拠点防衛用に開発されたこの装備は、有線による遠隔操作で操作されていた。
ハンスは市外のみならず、市内の廃墟にもモビルスーツ対策としてこれらのランチャーを複数配置していた。
これは、これまでの戦闘で拠点内部に少数のモビルスーツが侵入した結果、防衛線が内部から瓦解させられたケースがあったからである。
円筒内に充填された液体燃料の炎と白煙を引いてミサイルは、進路上にあるバルクのジンに突撃した。
万全な状態なら回避も撃墜も容易である。
だが、今のジンは、両腕を損壊し、武装を喪失しており、パイロット自身、負傷している状態で、そのどちらもが不可能な状態であった。
バルクの網膜に最後に映ったものは、オレンジ色の炎の輪を後ろに抱いた鈍色の槍だった。
「野蛮なナチュラルが…」
その鋭い槍の切っ先は彼のいるコックピットを守る破損した胸部装甲に突き刺さった。
直後信管が作動し、爆発と炎がジンの剥き出しの内部機関を襲った。少し遅れて搭載されていた推進剤と弾薬が誘爆し、上半身が爆散した。
残った下半身が黒煙を吹き上げながら後方の廃墟に倒れ込んだ。
都市に侵入したザフト軍偵察小隊は、文字通り一人残らず全滅した。
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