暁 〜小説投稿サイト〜
機動戦士ガンダム SEED C.E71 連合兵戦記(仮)
第4話 鉄巨人倒れる
[4/8]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
首から先が消し飛んでいた。それは、ウェルのジンが唯一の射撃武器を喪失しただけでなく、モビルスーツの通常兵器に対するアドバンテージさえも失ったことを意味していた。
「わああああああああああああ」
ウェルは、自分が無防備であることを強制的に認識させられ、恐怖の余り絶叫した。
そして彼は、身体の奥から湧き出る恐怖と生への執着のままに木偶の棒と化したジンを走らせた。
「おい!ウェル突出するな!くっ」
バルクは恐慌状態に陥ったウェルが逃亡するのを見て静止しようとした。
だが、ウェルはそれに応えることなく、ジンを見えざる敵が潜む灰色の迷宮へと走らせた。
ウェルはもはや上官の静止等聞き入れる状態になかった。
慣れない重力下の戦闘、予期せぬ同僚の死、弱いはずの敵に翻弄される自分達…この戦場で短期間のうちに強制的にこれらの体験を経験させられ、彼の心は摩耗していた。
彼のジンが廃墟のビルを通過した。
その時、廃墟の陰から飛び出したゴライアスが疾走するウェルのジンの横に並んだ。並走する形となったゴライアスは、左腕に保持した対戦車ミサイルを発射する。
発射された弾頭は、ジンの膝部分に着弾した。
走行中に脚部に攻撃を受けたウェルのジンは、脚を引掛けられた酔漢さながらに無様に大地に倒れ込む。
転倒したジンの巨体が周囲の瓦礫やゴミを薙ぎ倒し、一瞬土埃が煙の如く辺りを包み込んだ。
「いててて」
転倒した機体の中で、ウェルは意識を取り戻した。激しい頭痛が彼を苛んでいた。
だが、もしヘルメットを着用していなければ、彼は、計器類に勢いよく頭をぶつけて血と脳漿を撒き散らして即死していただろう。
「!」
ウェルは、機体各部に搭載されたセンサーとサブカメラ用のモニターを見た。
そこには、周囲の廃墟から歩兵部隊が、こちらに突進してくる映像が不鮮明ながら映されていた。
周囲の廃墟から飛び出した彼らは、2日前にディン部隊との交戦で壊滅したユーラシア連邦陸軍第89歩兵大隊の残余であった。
「大西洋連邦の奴らに後れを取るな!お前ら仕留めたらすぐ戻るんだぞ!」
右手に持った拳銃を振り回してミシェル・ガラント少尉は、部下達に向かって叫んだ。
喊声を上げて突撃する歩兵部隊、瞬く間に彼らは、倒れ込んだジンの機体に取り付いた。
歩兵の一人がジンの右足膝関節付近に爆薬を仕掛け、爆破した。
ジンのコックピットにその衝撃が伝わり、正面モニターの機体コンディションを示す映像のジンの右足が全損を意味する赤に染まる。
恐怖でウェルは、失禁した。
「来るなあ!ナチュラルがぁ!」
パニック状態のウェルは、機体の状態がどうなっているのかすら忘れてスラスターのボタンを押した。丁度その時、スラスターの推進口の
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ