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機動戦士ガンダム SEED C.E71 連合兵戦記(仮)
第3話 形勢一変
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流れを失えば、瞬時に死滅してしまうということを見る者すべてに対して雄弁に教えていた。

「酷いものだ…」
周囲の惨状を見て、思わず、彼は呟いた。

彼が、ザフト兵として地球に降下する直前の説明やプラント最高評議会議員達の演説では、地球に未曾有のエネルギー危機と通信・交通障害と死者を齎し、現在進行形で被害を与え続けている装置 ニュートロンジャマーは、地球連合が野蛮にも核を撃ち込んだのと反対に自ら核を使用することを封じたコーディネイターの崇高な英断である。とされていた。

バルクも多くのザフト兵同様、その言葉を信じていた。


そして彼が初陣を迎えた北アフリカ戦線で、その常識…いや妄想は、粉々に打ち砕かれた。
そこで彼が見たものは、NJ災害と地球連合軍の焦土作戦で起こった食糧不足によって餓死していく人々、医薬品不足によって薬局で安価に手に入る薬品で治療可能な程度の病気で死ぬ子供達、わずかな生活物資を巡り、村落間で殺し合う地獄……これらの事態に対して新たに統治者となった北アフリカ共同体も、ザフト軍も重要な拠点である都市と周辺部以外なんら対策を取ることはなかった。

ザフト軍の中には、愚かなナチュラルは、効率の良い遺伝子組み換え作物を用いていない(地球では再構築戦争期に一部の国家やテロ組織が行ったバイオテロ、飢餓作戦の記憶から遺伝子組み換え作物に対しての規制が敷かれていた。)からこのような事態を招いたのだ。等という暴論を吐くものさえいた。これらの情景を見たバルクには、NJ投下が反文明的な行為以外の何物でもないと考えていた。

…この戦争がどんな終わり方を迎えるにせよ、彼の祖国が4月1日にしたことは、西暦でのソビエト連邦の飢餓輸出やナチスドイツのアウシュヴィッツ収容所、共産中国の文化大革命の様に語り継がれることは間違いないだろう…だが、プラントの勝利で終われば後世に悪名を残す程度で済むだろうが、敗北すれば、文字通り住民全員が、抹殺される事すら不思議ではない。

地球連合が宣戦布告の数日後に宇宙移民の生活の根本であるスペースコロニーに対して核兵器を撃ち込んだという事実は、地球連合がプラントのコーディネイターを交渉相手以前に、同じ人間として見做していないことの証であるとバルクを含むザフト兵やプラント住民の間では考えられていた。


「…家族の為にも、生き延びねばな」

バルクの心に秘めた思いが、不意に音声化されてコックピットに響いた。

かつてブルーコスモスのテロが頻発していたユーラシア連邦領の故郷から逃れてプラントに移住し、プラント建設に労働者として従事することに人生の半分を奉げてきた彼は、プラントの未来の為、同胞であるコーディネイターの為、そして家族の為に命を捨てる覚悟を持っていた。



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