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機動戦士ガンダム SEED C.E71 連合兵戦記(仮)
第3話 形勢一変
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作動する様になっていたことを理解した。

だが、それはいささか手遅れであった。

「ウェル、右マニュピレーターの状態は?」
「重突撃機銃の保持自体は辛うじて可能です…しかし射撃は無理です!」
「わかった。左腕で重突撃機銃を持て。弾倉の換装は不可能だから今度こそ無駄弾は使うな」
バルクは、今度こそ≠ニいう箇所を強調して言った。

「それで隊長、これからどうするんですか?」
「本隊と合流することが先決だ。この都市の中央区を迂回して郊外に抜けるぞ」
「砲台はどうするんで?あれは本隊の脅威になります。」
「我々だけで破壊するのは、困難だ。郊外に出た時に信号弾で航空支援を要請する。今度こそ確実に叩いてくれるさ」
「だといいですがね」
「ウェル、お前は後ろをカバーしろ。先頭は俺が警戒する。いくぞ!」
「了解!」

2体の鋼鉄の魔神は、再び歩みを始めた。彼らの周囲を廃墟が取り囲んでいた。



こんなはずじゃない……偵察バルク小隊2番機のパイロットであるウェル・オルソンは、ジンのコックピットで呟いた。

遺伝子操作の結果であるその端整な顔は、戦場の恐怖に直面したことで短期間のうちにやつれ、脂汗が幾つもあった。
つい数時間前まで彼と話していた同僚、カートは、彼らが劣っていると考え、上官や両親、マスコミを隔てた先で演説する政治家から繰り返し教えられてきた相手の手によって殺害されていた。

「どうしてナチュラルは……俺の努力を無駄にするんだよ…!」
苦々しい口調で彼はその言葉を絞り出すように言った。
ウェルは、マイウススリーの宇宙港区画に隣接する住宅地区で宇宙船整備技師の父と港湾作業員の母の間に生まれた。
彼は、6歳の頃に大好きな母親からある重要な任務を与えられた。
それは、母が庭に植えたサフランを仕事で忙しい彼女に代わって育てることだった。
彼は、その任務を忠実に実行した。

水をやり、図書館から本を借り、隣で同じく園芸に励んでいた女性に何をすればいいか聞いた。
彼にとって幸いなことに環境が調整されたスペースコロニーであるプラントでは、降雨時樹も1日の気温変化も秒単位で専門の機関によって調節されており、古代より農業従事者や園芸に関わっていた者達を苦しめてきた干ばつや豪雨とは無縁であった為、全ては順調に進んでいった。

同様の存在である気持ち悪い害虫もコロニーでは、考慮の必要すらなかった。
最初に薄紫色の花が咲いた時、よくやり遂げたと父に褒められ、宇宙船整備で鍛えられた大きな腕で頭を撫でられたことと母から褒められたことは、今でも鮮明に覚えていた。

その2年後、彼は、任務に失敗した。
理事国軍で構成されるプラント駐留軍の兵士がコロニー内生態系を乱す危険のある違法栽培植物の撤去の名目で現れたこ
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