提督はBarにいる×山勘編・その3
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て炒め、肉の色が変わったらみじん切りにした長葱、食べるラー油、オイスターソース、醤油を加えて長葱がしんなりするまで1〜2分炒める。小口切りにした万能ネギを加えたらサッと炒めて、火を止める。
お次は豆乳スープ。鍋にだし汁、味噌、練り胡麻、きび砂糖、塩を入れ、沸騰させながら溶かしていく。だし汁は好みの物でいいが、豚肉で動物系の旨味は出るから、鰹とか昆布なんかの魚介系のだしがオススメだぞ。だし汁が煮立ったら火を止め、粗熱が取れたら炒めておいた挽き肉と豆乳を加えて、再び火にかける。沸騰させると豆乳からえぐみが出るので、沸騰させないように注意。
麺とスープを別々の器に盛り付け、仕上げにお好みで砕いたピーナッツ、パクチー、食べるラー油をスープに散らしたら完成。
「お待ち、『豆乳つけ麺』だよ」
待ちきれなかった、とでも言わんばかりに早速麺をスープに浸し、ズルズルと啜る山勘。豆乳のマイルドな味にラー油が程よく辛味を利かせ、日本人に馴染み深い醤油や味噌が塩気を演出。そこにビールが絶妙にマッチするんだよな、これが。
「……うん、美味い」
その後も山勘は手を止める事なく、麺を完食した後にはだし汁を足してスープまで飲み干した。
「実に美味かった。ここはいい店だな」
食後の一服に煙草を2本程ふかし、山勘は次の依頼があるから、と去っていった。いやはや、なんともミステリアスだがいい奴そうだ。今度はゆっくりと杯を酌み交わしてみたいモンだ。
そんな『Bar Admiral』のある鎮守府から徒歩で30分ほど離れた路地裏で、山勘は紫煙を燻らせながら携帯で電話を掛ける。何度かのコール音の後に、目的の人物が電話口に出た。
『なんじゃ、お前か』
「おいおい、随分とご挨拶だな。アジア情勢を探る帰りに様子を見て来い、と言ったのはお前だろうに」
電話口の相手は誰あろう、金城提督がジジィ呼ばわりする元帥閣下だ。
『で、どうじゃったあ奴は。お前の眼から見て?』
「提督にしとくにゃ惜しい腕前だ。主計科にでも鞍替えさせたらどうだ?」
『バカ言うでないわい!あれでも指揮官として有能な男じゃ。……人間的な話をしとるんじゃ』
「お前が何を心配してるかは解らねぇがな……奴は仕事に誠実だよ。料理の仕込みの丁寧さで判る」
『そうか、小僧は大丈夫そうか。腐っておらんかと心配しとったが……ならば良い。今度は国内を探ってもらう、とっとと帰ってこい』
「人使いの荒いジジィだぜ、ったく……了解」
そう言って電話を切る山勘。私立探偵は表向き、本性は元帥の私的な間者である山勘は、フーッとブルネイの夜空に向けて紫煙を吐き出した。
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