提督はBarにいる×神薙改式編・その3
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を埋めるように回しかけてやる。オムライスとカレーライスを合体させてしまうという禁忌。これがマズいと思うか?
「ハイよ、『ふわとろオムカレー』だ」
ゴクリ、と生唾を飲み込む音が聞こえる。武蔵がスプーンを手に取り、カレー、半熟オムレツ、チキンライスを一匙に掬い上げて口に入れた。瞬間、武人のような引き締まった頬がユルユルに弛んでいく。
「ちょっと提督、私にもご飯!」
「わ、私も貰うぞっ!」
同時に動いたのは那智と足柄。残しておいた唐揚げと海老フライをそれぞれ、玉ねぎと一緒に割下で煮込んで卵で綴じる。それをご飯の上へドッキング。
「ホイさ、『海老玉丼』と『唐玉丼』だ」
2人は丼を受け取ると、猛然と掻き込み始めた。丼は逃げねぇだろうに、もっと落ち着いて食え。ビス子と金剛がやけに静かだと思ったら、ちゃっかり早霜にプリン出してもらって食べている。顔がユルユルというか、トロットロにとろけている。皆一様に幸せそうだ。こういう空間があるってのは、幸せな事さ。
「いや〜、食べた食べた。大満足ですよ!」
少し量が多かったのか、若干苦しそうにお腹をさすっているナギー。
「いやいや、満足頂けたようで何よりだよ」
「それにしても、マスターさんて筋肉モリモリですよねぇ。筋トレが趣味なんですか?」
そのナギーの何気無い一言で、ほんわかとしていた空気が一瞬にして凍り付いた。
「……What?」
怪訝な表情に真っ先に変わったのは、金剛だった。
「……え、僕何か変な事言いました?」
気付いていない。自分の犯した最大のミスに。幾ら何でも取材対象である鎮守府の長の顔と名前くらいは入れてくるだろう、例えそれが『常識はずれにBarを経営しているような提督』だとしても、だ。つまりコイツたった今、自分は正規の取材記者ではないと暴露したに等しい。何者か、なんてのは後回しだ……例え半殺しでも捕まえた後でどうとでもなる事だ。
「やっぱりな、最初の違和感に間違いはなかったんだな……」
「え?……え?」
みるみる内に顔が赤くなっていく俺と、対照的に青くなっていくナギー。
「全員、こいつを取り押さえろ!侵入者だ!」
瞬間、俺がTシャツの襟を掴もうと両腕を伸ばしたが寸での所でしゃがんでかわされた。その際、
「うひゃあっ!」
という悲鳴つきで。そこに武蔵が空の一升瓶を投擲。カウンターの下で見えなかったが、どうやったのかかわされてしまったらしい。そこに掴みかかったのは那智と足柄。しかし、突っ込んだ勢いを利用されて姉妹で正面衝突している。脱兎のごとく、という表現がピッタリの動きで出口に向かうナギー。
「通さないわよ!」
しかしドアの前にはビス子が仁
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