提督はBarにいる×神薙改式編・その1
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かる。確か客人の出迎えの為に、正門には比叡を立たせてあったハズだが。
「なぁ兄ちゃん、ちっと悪いが荷物を改めさせて貰ってもいいか?」
「えぇ、構いませんよ?」
存外すんなり応じたな、俺の気にしすぎか……。まぁ、念のためにチェックしておこう。カバンの中身は財布にスマホ、折り畳み傘に単行本サイズの本が10冊。中身は旅行記風のファンタジー小説で、作者はどれも”ナギー“とある。
「あぁそれ、僕の本なんですよ」
「これ全部、兄ちゃんが書いたのかい?中々どうして大した量だな」
「えぇ、大手の出版社じゃなくて自費出版ですけど」
それでもまぁまぁ売れてます、と謙遜気味にその青年は語る。このナギーというのがペンネーム、という訳だ。しかしまぁ極端に荷物が少ない所を除けば、怪しい所は特にない。
「すまんな、疑ったりして」
「いやいや、民間人を軍の施設に入れるんですから当然の処置でしょう」
疑いの目を向けられたというのに、青年・ナギーは朗らかに応対している。こういう誠実さってのは一朝一夕で身に付く物じゃない。これだけでも好印象だ。
「さてと、今回はウチの取材をしたいって事だったな」
「え?えぇまぁ。施設内にBarが併設されてる鎮守府なんて、珍しいですからね」
俺の問いに答えるのに僅かなタイムラグがある。何だろうな、この取り除かれた筈なのに、無くならない違和感は。
「あの〜……お腹すいてるんで、注文いいですか?」
「あ?あぁ、すまんすまん。さぁご注文は?」
俺がそう言うとナギーと名乗る青年はキョロキョロと店内を見回す。
「注文しようにもメニューが見当たらないんですが……」
「あれ、ジジィから聞いてねぇのか?ウチはメニュー無いんだよ」
ウチはメニュー無しがデフォルトなんだが、そんな重要な情報まで言ってないのか?あのジジィめ。
「あぁいや、これ僕の取材スタイルなんです。余計な情報はシャットダウンして、自分の見聞きした物だけで書きたいので……」
少し焦り気味で弁明する彼の言い分は解る。事前に色々と聞いていると、その先入観から抜け出せないなんてのはよくある話だ。
「でもメニューが無い定食屋……っていうかここはBarですけど、なんだか漫画の世界みたいですね」
「漫画の世界……あぁ、『深夜食堂』か。初めて来た客にはよく言われるよ」
あの漫画も読んでいて腹が減るし、何より出てくる客のエピソードが多彩で読ませてくれる。俺も好きな一作だ。影響を全く受けていないかと言われれば、ウソになるだろうな。
「まぁそういう訳だから、ウチの店にメニューは無い。材料があって作れる物なら何でも作るぜ?」
「え〜っと……オススメって何で
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