第49話『戦士』
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流れで辿り着いたんだから、ある意味すごい。
…そんな分析してる暇はないな。
「…君のことはよくわかったよ。そして尚更、君の邪魔をしなければいけなくなったね」
「どうしてさ?」
「ここは僕の住む街だ。どこの王様だろうと、好き勝手にはさせない」
「…はぁ、これだから人間は。弱肉強食って知らないの? 負けるとわかっている相手に挑むとか、頭おかしいんじゃない?」
口戦を繰り広げる二人。一触即発な雰囲気だ。
ヒョウに至っては苛立ちが目に見えてわかる。何も言わない方が利口だろう。
──しかしその時、火に油が降り注ぐ。
「ボクはキミとは一緒に行けない」
「…は?」
「キミがやっていることに賛成できない。ボクの力は貸さないよ」
強烈なユヅキの一言だった。
ヒョウは打ちのめされたような顔になり、絶句する。自分の言い分が通ると、固く信じていたからだろう。
だが直後、大きな舌打ちが響く。
「どいつもこいつもボクの邪魔をしやがって・・・一体何が気に入らないっていうんだぁ!」
ヒョウを中心に巻き起こった吹雪。それは晴登たちを含め、周囲全てを蝕んでいく。家々は凍りつき、地面も氷柱に覆われた。
間違いなく、あの時のと同じやつだ。
何も見えない、何も聞こえない、何も感じない。
その地獄がまたやってくるのだろうか。
死んだのかも不鮮明で、どこか別の次元に弾き出されたような、あの孤独な地獄が。
吹き飛ばされないよう必死に耐えながら、晴登は沸き上がる恐怖も堪えていた。肌がざわつき、悪寒が背筋を駆け巡る。荒い呼吸を繰り返しつつも、何とか身体を保った。
…いや、ダメだ。怖い。五感がもう鈍ってきた。嫌だ、死にたくない…! 帰りたい…! 誰か助けて…!
「ハルト!」
「!!」
轟音の中、その声はハッキリと耳に届いた。
ガッシリと手首を掴まれ、無理矢理に引っ張られる。その手は迷うことなく晴登を導いた。
「ぶはぁっ!」
ヒョウから距離をとり、水面から出る様に吹雪から脱出する。
右手にある温かさを感じながら、晴登は正面を向いた。
「…ありがとう、ユヅキ。また助けられたよ」
「気にしないで。もう晴登にはあんな目に遭ってもらいたくない」
そう言って、ユヅキは微笑んだ。
…もう感謝しても、し切れないな。それほど、自分はユヅキに助けられた。
最初は居場所を与えてもらい、そして友達になった。色々あったけど、どんどん仲良くなって、ラグナやアランヒルデ、ミライと知り合えた。
たかが3日間、されど3日間だ。普通じゃ芽生えないような深い絆があるのを、晴登は感じていた。
ユヅキの笑顔を、守りた
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