第49話『戦士』
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」
口を挟むつもりはなかったが、つい横槍を入れてしまう。だが、それも仕方ないだろう。
間違いなく、こいつは今『ユヅキと初対面』と言った。むしろ驚かなくてどうする。
「……何だ、まだ生きてたのか。よくボクの前にノコノコ現れたね」
「それは後だ。お前、ユヅキと初めて会ったってどういうことだ? 姉弟なんだろ?」
露骨に態度を変えて接してくる点は置いといて、晴登は疑問点の追究に掛かる。
「姉弟…そうだね。確かにボク達はちゃんとした血縁関係にある。ただ、会ったことがなかっただけで。生き別れ、と考えるとわかるんじゃないかな?」
「生き別れ? そんなことあるのか?」
「ボクが物心付く前に、ユヅキは故郷を出ていったからね。姉という存在を、ボクは両親から聞いたことしかなかったよ」
「じゃあ何で、今頃になってボクを捜しに来た訳?」
ユヅキがその質問をした途端、ヒョウの表情が曇る。
何か聞いてはならないことを訊いた、そんな緊張感が漂った。
「…父さんと母さんが死んだ。もちろん、キミとボクの」
「え…?」
「病死だよ。いくら鬼でも病気には敵わない」
「嘘……え?」
突然の言葉にユヅキは絶句。自然と晴登も言葉を失った。
確か時計屋でユヅキの両親について訊いたとき、彼女は「健在だ」と答えた。
つまり、ユヅキは両親の死を知らないことになる。
「それで国の統治権を、王である父さんの息子のボクが譲り受けたんだ。だから国はボクのものだし、ボク自身は『大陸の王』を目指そうと思ったんだよ。けどそれには、大陸全てを統治する必要がある。それでボクは、昔居たという姉を捜して、戦力にしようと考えたのさ。同じ鬼族だし、それなりに戦えるだろう、ってね」
しかしお通夜ムードになることはなく、ヒョウは嬉しそうにそう語っていた。まるで、ようやく自分の時代がきたと、はしゃいでるように。
「父さんと母さんが……嘘……」
「そう落ち込まないでほしいね。大体、ユヅキが故郷を放れたのって、親子喧嘩が原因なんだろ? だったら、死んで良かったと喜ぶかとも思ったけど…」
「そんな訳ない、ボクの親だもん。それより、何でキミはそんなに平然としていられるの?」
「最初は驚いたよ。でも、ボクの国ができたと思うと嬉しくてね」
哀しみに震えるユヅキとは対照的に、喜びを露にするヒョウ。どう見ても、ヒョウの反応の方が異常である。
それにしても、ユヅキは家出していたという事実が気にかかった。訳ありなのは以前から聞いていたが、まさか家出とは。
つまり、ヒョウと顔を合わす前にユヅキは家出したことになる。となると、年齢的にまだ小学校に入る前くらいだろう。それで、王都に
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