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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第五話 僕自身の渇望
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は何なのですか?」

「理由?」

「そう、理由です。貴方が私に忠告し、その事をほかの誰にも仰らない。その行為に貴方のメリットとなるべきものが全く見当たらない。故に何故貴方はこのようなことをするのか理由が知りたいのです」

理由、と聞かれればまず思い浮かぶのはライニか水銀だろう。この世界に居る理由そのものが彼らの願いなのだからそれは当然だ。
しかし、ヴァレリアに忠告する理由…いや、ヴァレリアだけじゃない。螢ちゃんに対して誘いをかけた。司狼に玩具(ぶき)をあげると言った。それはつまり、どう言うことだ?

「私は時々疑問に思うのです。貴方の行動には一貫性が見えない。ハイドリヒ卿の忠臣であるかと思えば、私の裏切りの可能性に対して忠告をする。かと思えばレオンハルトに手を差し伸べ、挙句、敵に力を貸そうとしたと言う。貴方は一体、何をしたいのですか?」

何がしたいか……ああ、簡単なことだ。僕は、

「結末を知りたい」

「は?」

「だから、結末を知りたい。それだけだ」

「結末、ですか。それは何の?」

なんというか、精神や心理的なものはそれを理解しているが、言葉として表すのが難しい。

「…うん全ての結末だと思う。例えるなら個の結末、或いはその集団の結末、そしてそれらが集まって出来た世界の結末。
そう言ったものが知りたい。でも世界は結末に辿り着くことなく消えていくものがたくさんある。だから僕はそれらが結末に辿り着く前に崩壊してしまわないようにしているんだと思う」

世界を世界の結末を知りたい。そうか、だから僕はこの世界にきたんだ。水銀の恋が成功するという結末、ライニの願いが叶うという結末。それらをそれらを望み続けている。それがある意味、僕の渇望……

「つまり、私達は貴方にとって結末を見る前に崩壊してしまう存在であると」

「そういうことだね。理解した?そろそろテレジアちゃんも出てくるだろうしこれでお終い。僕は先に帰ってるよ」

そう言って僕は教会の一階に出てそのまま外へ行き真夜中の真暗な闇を渡り歩いた。
そしてここに来てようやく僕の渇望が見つかったことに僕の心は歓喜に満ち溢れていた。

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