第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#52
FAREWELL CAUSATION?〜Silver&Crystal Rond〜
[2/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
仔狐《こぎつね》――!』
『永暦の樹麓妃様……』
数千年の悠久を越えて、交わる言葉。
『茫? やはり妾は、其方の主上で在ったと見ゆる』
幾千を越える魔眼が樹幹の至る所に浮かび上がり、
桜麗の九尾を眇めた。
『為れば無粋な従属共々、跪 き無沙汰を乞わぬかえ?
想い尽さば先刻の非礼、不尽にしてやらぬでもない』
王と真王、名は似ていてもその存在には桁違いの開きが在る。
ティアマトーがまだ生まれたばかりの頃、
既に此の王は紅世の象徴処か『司柱』として、
世界そのものの「局」として君臨していたのだ。
以前のティアマトーならば、是非も無く膝を折りその「威」に屈していただろう。
しかしこの御方が紅世より消えたその日から、
永き時の渡りの中辿り着いた今の自分、は――
『できませぬ』
『ぬ?』
『我が子の前で、卑を晒す “母” が何処におりましょう?」
どんなに苦しくても、気高さだけは失ってはならない。
嘗て己が子を生かすため、焼け爛れた手に糧を受け続け与え続けた者、
その疵が死に至るその時まで――
現実がどれだけ残酷で在ろうとも、運命がどれだけ理不尽で在ろうとも、
子を想う母親とはそういう存在。
『快楽、快楽。妾の樹根に纏わり微睡んでいた仔狐も、
いつのまにか親狐になっていたという事か。
時の流れとは妙なるモノ。
今 生に執心は無いと申すか?』
『貴公様に刃を向けし慮外、
単に私の不義で御座いますれば、
伏して御詫び申し上げ致しましょう。
しかし矮小なる仔狐にも、命を賭して庇護するものが在るので御座いまする』
通常というより是ほどに喋れたのかと、
普段の彼女の寡黙さを知るなら驚嘆すべき光景。
それほどまでに【真王】の圧威が絶大だったとも云える。
断頭に架けられた仔狐、その表顕そのままに。
「宣かろう。近う来やれ」
その言葉だけで、首を刎ねられるのが解っているにも関わらず
侍りそうになる誘引力。
『貴女の仔狐が生んだ “子” で御座います。
御照覧あれ』
瞬間、契 約 者の手が眼前を薙いだ。
途端に解れ、桜色の糸と為る晶玉の髪飾り。
神器ペルソナ、其の名称そのままに白面の妖狐と成りて
淑女の風貌を覆っていく。
対して真王は盤石の構え、変貌の僅かの瞬間、
仮面諸共に斬り刻むのは可能であっ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ