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『八神はやて』は舞い降りた
第6章  『八神はやて』
第50話 最終兵器はやて
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。しかしながら、少女と同化したジュエルシードは、消える寸前になって再び奇跡を起こした。


 苦痛と憎悪に支配された彼女が最期に願ったのもの。奇跡を願い、奇跡は起きた。けれども、その願いは――――破壊だった。
少女が、本当に欲しかったものは、何一つ与えてくれなかったのに。


 ――――その日、駒王町が一夜にして消滅したというニュースが世界を駆け巡った。


 サーゼクス・ルシファーが死亡したことで、三大勢力のバランスは完全に崩れた。堕天使と天使は悪魔領へと攻め込み、全面戦争が勃発する。しかし、クリスマスまでには終わるだろう、という楽観的な予測は外れ、血で血を洗う総力戦となった。
 冥界も天界も破壊されつくし、三大勢力は破滅するのだった。


 救いのヒーローはどこにもいない。





 駒王町のとある家にて、すやすやと昼寝をしていた幼子を、青い光が包み込んだ。彼女の様子を見ていた父親は、慌てて近寄るも。特に異常は見当たらない。


「あの光はなんだったんだ? 神器ではないようだし、悪影響もなさそうだが。ひょっとして、うちの子には、秘められた力が宿っているのかもな!」


 のんきに独り言ちる父親は、にこにことしながら、愛しの娘に視線を向けた。これ以降、一人娘は、大人びた言動が増えていくことになる。普通ならば、奇妙に思うかもしれない。
 しかし、彼女の親は、普通ではなかった。


「うちの子は、天才かもしれない!」


 いわゆる、親ばかだった。そんなどこにでもある一般家庭。温かな家で暮らす、お気楽幼女の名前は――八神はやて。


 ――――ジュエルシードの中で少女は嗤った。
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