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『八神はやて』は舞い降りた
第6章  『八神はやて』
第50話 最終兵器はやて
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ああああああああああああああああッ!!!!!!!!!」


 何がいけなかったのだろう。突然悪魔に襲われて……父も●されたのかと思った。けれど、父は無事だった。どこか父と遠いところへ行くのだ。そうしたら、また悪魔がやってきて、おとうさんは、ぼくに隠れるようにいってきて、だからぼくは隠れて。隠れて。隠れたのに――――うっかり外を覗いてしまった。


「あああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!!!」

 
 何がいけなかったのだろう。父の言いつけを破ったからだろうか。ぼくの目の前でおとうさんが●んじゃった。そんなはずない。おとうさんが●ぬわけない。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ。



「ああああああッ!」


 叫んで叫んで、泣き叫んでも現実は変わらない。聡いはやては分かっている。この問いかけに意味などないのだと。八神はやてはひたすら自問自答する。思考が空転しても考えはとまらない。


「あぁ……」


 声は枯れ果て、ぽろぽろと涙が、止めどなく流れ続ける。そこで気づく。はやてを青い奔流が取り巻いていることに。いやまて、まだ父が●んだと決まったわけではない。だって、だって、この青い光は奇跡の光。あの宝石の力が、ぼくの力。
 イメージするのは最強の自分――近所のお兄ちゃんがそう言っていた。ジュエルシードの力がはやての元へと集束していく。荒れ狂い、暴走するだけだったあのロストロギアを、魔法すら知らない少女が制御しようとしていた。これが、どれほどの奇跡であろうか。


 最強の自分をイメージしたら、服装が変わっていた。力が漲ってくる。同時に、先ほどまで感じていた気持ち。怒りと絶望と憎悪がない交ぜになった感情が鎌首をもたげる。暗い感情と焦る気持ちが、激しい衝動となって湧き上がる。
 父と会う前に、まずはあの悪魔を成敗しなければならない。邪魔するなら排除しなければならない。そう思ったとき、悪魔に殺されかかった記憶が蘇り、身体がぶるりと震える。


(いや、大丈夫。いまのぼくなら、あんな化け物に負けるわけがない)


 震える身体を落ち着けようと深呼吸して、決意した。この奇跡のような力は、きっと神様が与えてくれたに違いない。かつて父が敬虔な信徒だったはやては、そう考えた。


「またおとうさんに会うんだもん」



 家族を守りたい。その一心で、立ち向かう。なんとなくだが、力の使い方は感覚でわかる。青い光を纏ったまま、ジュエルシードの魔力で飛翔した。






 時は、八神はやてがはぐれ悪魔に襲撃される前日にさかのぼる。
 

 魔王サーゼクス・ルシファーは急いでいた。今、彼が急いでいるわけ、それは、異常な魔力の高まりを感知したからだ。魔力から
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