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提督はBarにいる。
肉の日メニュー争奪戦・1
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「良いわね!その為にも午前のお仕事頑張らなくちゃ!」

 気合いを入れ直すアイオワを見て、自分も頑張ろうと気持ちを切り替えるサラトガ。しかし彼女は知らない。そのスペシャルメニューが3人に1人しか食べられない狭き門である事を。




 戦は情報戦が要。古今東西の戦の数々がそれを証明している。例えそれが、『限定料理の奪い合い』だったとしてもだ。

 時刻は午前11時。気の早い者ならば今日のランチは何にしようか?と思案を始める頃だ。手軽に済ませるなら鎮守府備え付けの食堂や購買、少しお洒落にいくなら『間宮』、お袋の味を求めるならば『鳳翔』……と、鎮守府内だけでも他の鎮守府に比べて選択肢が広い。しかして今日は肉の日。殆どの艦娘の狙いは提督のスペシャルメニューである。

「もー!よりによって何で今日が私の遠征の順番なの!?」

 午後からの出撃の準備をしながら、誰に言うでもなく恨み言を叫ぶ吹雪。

「まぁまぁ、厳正なる籤引きの結果なんだから、諦めなさい?」

 そう言って近くで宥めているのは制服のデザインは似ていないが、同じく吹雪型の叢雲。しかしその顔には間違いなくニヤニヤという笑いが貼りついていた。

「あーあー、そうでしょうともっ!叢雲は今日非番だもんね!?」

 提督のスペシャルメニューは先着順優先の完全早い者勝ち。100人前しかないのだから当然とも言えるが、出来る前から店の前に並ぶ、というのは禁止されていない。仕事のある者は当然鎮守府内の見回りをしている連中にしょっぴかれたりするが、非番の奴は咎められないのだ。貴重な休日をスペシャルメニューの為に並んで立ちんぼになろうとも、だ。……しかし、それだけの事をする価値があると叢雲は確信していた。

「……御愁傷様」

 短くそう吹雪に告げたのは同じく吹雪の妹である初雪。普段はやる気の感じられない彼女ではあったが、肉の日のメニューと聞けばやる気を出すのだ……それも、悪い方向に。

『良いのかなぁ』

 そんな不安げな表情を浮かべているのは白雪。1週間前、吹雪・白雪・初雪・磯波・深雪・叢雲・浦波の7人で遠征の日割りを決める籤引きが行われた。肉の日の遠征を回避できるのは3人。確率3/7という半数以下の確率を引き当てたのが叢雲・初雪・白雪の3人だったのだ。なお、深雪と浦波は前日から油槽船団の護衛任務に就いており、鎮守府にその姿はない。

 白雪に突き刺さりそうな鋭い視線を送るのは叢雲と初雪。その顔には、

『余計な事を言ったらぶっ飛ばすわよ?』

 とありありと書いてある……そう、叢雲と初雪は手を組んで籤に細工をしたのだ。それを目撃された白雪に口止め料として当たり籤を1つ譲った上で、だ。

『ごめんね、吹雪ちゃん……』

 どうしても姉に食べさせ
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