プロローグ 小さな少女と無表情な男
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に彼を殺そうとしている男だ。縛られているから平気、問題は無いと確信していたのだろうが。抑々この程度の縛りは縛りとは呼ばない、彼にとっては縄と同じ感覚なのだ。
「ッ! 此奴!」
驚きはしたがナイフは振り下ろす、彼を頭目掛け降ろす。彼は男の太ももを蹴り、体勢を崩した。
たかが子供の蹴りと侮っていたのが運の尽きだろう、彼の蹴りは肉を千切り、骨を砕く程の威力を持って居た。
「がッ!?」
余りの痛みに悲鳴を上げ、ナイフを落とす。蹲るようにしたお蔭で彼からは丁度掴みやすい位置に彼の首が差し出された。それを掴むと男は痛みで顔をさらに顰める。
「殺すなら、殺される気もあるんだろ?」
首を掴んで問い掛ける。男にはその表情は不気味に見えた事だろう。
「ひっ!?」
男は短く悲鳴を上げた、逃げようともがくが彼は首をへし折った。男は白目をむき、こと切れたかのように地面に倒れた。
「こ、この野郎!」
近くでその光景を見ていた別の男が襲い掛かって来る、単純な突撃、対処は簡単だ。
足を払い、体勢を崩す。
「ぐぇ!?」
倒れた瞬間を見計らい、頭をそのまま地面に叩き付ける。白い床が赤く染まった。ぴくぴくと痙攣する体を蹴り飛ばし、前へ進む。
「畜生、仲間の仇だ!」
「ッ! 止めろ!」
男が手をこちらに向ける、すると手には魔法陣の様な物が浮かび上がり、火の玉が現れ、彼目掛けて発射された。
火球は見事彼に命中し、辺りに煙を巻き上げる。
「ど、如何だ、ちっとは喰らったばら!?」
「!?」
一瞬だった、火球を放った男の顔が吹っ飛んだ。吹っ飛んで直ぐに後方で破裂する音が聞こえた。振り返ると壁に小さな穴が開いていた。
「びっくりした」
煙の中からやはり無表情で彼は出て来た、彼の手には小さな小石が握られていたが石の周りに透明だがボヤが見える。
「くそっ! 此奴も魔導士か?」
最後に生き残っている男は何もない空間から刀を取り出した。素早く鞘から刃を抜き出し、彼に向かってそれを突き刺す。
「っ」
彼は腹部に刺さった感覚に驚きつつ、男の顔目掛けて石を投げた。
「チッ!」
男は咄嗟に石を避ける、彼から放たれた石はまるで拳銃の弾丸の様に放たれ、後ろの壁に小さな穴をあける。男は刀を壁まで突き刺した。
彼は俯き動かない、それ見た男は彼に近付く。
「お前にマスターも親友も殺された、もうこのギルドには俺しかいない‥‥てめぇは痛みを感じねぇのか、一体お前は何者なんだ? 子供が遣る殺し方じゃねぇぞ!」
死体に変わった元仲間を指差して叫ぶが彼は何も言わない。
「もうこのガキも殺して、俺は足を洗う、もうこんな思いはうんざりだ!」
男が彼に背を向ける。その瞬間、背筋に悪寒が走り、パッと振り返る。
彼は刀で腹部を貫かれているにもかかわらず、血が流れるにもかかわらず彼は表
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