IFエンド 「ディアーチェ・K・クローディア」
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と、店の奥から長身の男が現れる。まあこのような言い方をしたもののこの店で働いているのはまだ我とショウのみ。故に消去法でショウということになる。我の立場からすれば実にタイミングの悪い登場だ。
「あ、ショウくん。久しぶりやな」
「久しぶりって言うほど期間は空いてないと思うんだが?」
「ちっ、ちっ、ちっ。甘いでショウくん、私からすれば3日くらい顔を合わせなければ久しぶりの範疇や」
「それってお前の価値観だろ。俺の認識がおかしいみたいに言うな」
小鴉は笑っておるし、ショウはどこか呆れが混じっておるが嬉しさもある顔をしている。実に昔から見慣れたこやつらだ。
しかし、昔とは違うことがひとつある。それは今やショウは我のもの……我だけのものだということだ。別に昔からの友人を無下に扱えなどと言うつもりはない。ないが我とてひとりの女だ。多少なりとも嫉妬してしまう。顔には出さぬように務めはするが……
「いやいや、前までは私のことちゃんと分かってくれてたやん。そんなんじゃ、はやて検定1級から降格してまうで」
「そんな試験を受けた覚えはない」
「私と話してる段階で自動的に受ける試験なんや」
「本人の意思を無視して勝手に採点するな腹黒タヌキ」
そう言ってショウは小鴉にでこピンを放つ。そこそこ力が込められていたらしく、なかなかの音が鳴り小鴉は額を手で押さえた。そこから始まる昔ながらのじゃれ合うようなやりとりに苛立ちを覚える。
「もう、痛いやないか。女の子には優しくせなあかんやろ」
「あのなはやて、お前はもう女の子って呼べる年齢じゃない」
「事実やけどそういうのは言わない約束やろ。まあ女の子扱いされても困るんやけどな。女として扱ってもらわんと何か癪やし」
「前から分かってたことだけど、お前ってそういうところ面倒臭いよな」
「面倒臭いところがあるんはお互いさまや」
…………。
………………小鴉、これも貴様の作戦か?
貴様とショウが昔から親しいのは知っておるし、このようなやりとりは今までに何度も見てきた。嫉妬めいた気持ちを抱いたことも何度もある。とはいえ、貴様を含めショウと親しい女子は我の友人。故に胸の内に抱いた感情を爆発させることはなかった。
だがしかし、我とショウの城とでも言うべきこの店で我を蚊帳の外にしてショウと話すのはどうなのだ。我とて人の子であり、何よりショウの恋人なのだぞ。自分と瓜二つの女が奪い取る発言をした挙句、目の前で堂々と恋人と楽しそうに話しておる光景を見せられておる我の気持ちを貴様は分かっておるのか。
「そういやコーヒーだけなのか。試食用に作ったやつがあるけど食べるか?」
「食べる、って言いたいとこやけど……そろそろ仕事に行かないけん時間や。また今度来る時にご馳走して」
「ああ、営
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