IFエンド 「ディアーチェ・K・クローディア」
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に言われても嬉しくないわ」
本当に嬉しくないのかと問われると答えはノーなのだが……こう言うと素直ではないなどと言うものがいそうだが冷静に考えてみよ。友から好きだと言われて嫌に思うものはいないであろう。それで嫌だと思うならば、そやつは貴様にとって真の友ではないということだ。
「いやはや、今日も良い味出しとるなぁ」
「何をしみじみと言っておるのだ。というか、今日もと言えるほど貴様はここに来ておらぬだろう」
「それは仕方ないやろ、私だって社会人なんやから。……お客さんの方はどうなん?」
開店してから間もないが故に客足は多くない。来てくれているのも小鴉のように繋がりがある者がほとんどだ。我としてはコーヒーや紅茶、お菓子類も含めてそのへんの店には負けておらぬと自負しておる。が、結局は情報が広がっていかなければ新規の客は望めない。
とはいえ、我の知り合いには顔の広い者も多い。開店して日も浅いにも関わらず多少なりとも黒字が出ておるのだから上々と言えるであろう。
「まあぼちぼちといったところよ」
「ならすぐに店仕舞いとかにはならなそうやな。……ところで王さま、さっきから私の顔ばかり見とる気がするんやけど何か付いとる?」
「ん、いや別に何も付いてはおらぬが……大分髪が伸びたなと思っただけよ」
我がそう言うと小鴉は自分の髪に触れて軽く弄ると少し恥ずかしそうに笑みを浮かべる。
「自分ではええかなぁって思っとるんやけど……おかしい?」
「誰もそうは言っておらぬ」
大体こやつに似合わぬのなら我も似合わぬことになる。血筋故か体格こそ今では我の方が大きいが、それでも顔立ちなど似ておる点は多い。一緒に居れば姉妹と勘違いする者も居るだろう。
どういう心境で髪を伸ばし始めたのかは知らんが……昔はともかく今ではこやつに間違われることはあまりない。我と似たような髪型にするな、と言うのは良くないであろう。
「そもそも貴様ももう子供ではないのだ。付き合いや仕事柄パーティーに参加することもあるのだろう。自分の容姿を気に掛けるのは悪い事ではない。むしろ当然だ……何だその顔は?」
「いや……何か今日の王さまはえらい優しいなと思って」
「怒鳴り散らしておったのは貴様が人のことをからかうからだ。それに……我とてもう大人だ。すぐにムキになったりはせん」
と言ってみたものの……こやつが本気でからかってきたら抑えられるかどうか分からぬ。
最近はこやつやシュテルといった茶目っ気の多い人間と顔を合わせることが少なかったが故に穏やかな気持ちで居ることが多かった。そのため今も前よりも落ち着けているのだろうが……からかわれた瞬間に反動で一気に爆発しかねんな。奥ではあやつが作業しておるし、どうにか平常心を保たなければ。
「そっか……何
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