IFエンド 「ディアーチェ・K・クローディア」
[1/11]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ここ最近思うことがある。
それは充実した日々を過ごしておると時間の経過が早いということだ。
ついこの間アリサ達と共に大学に入ったかと思えば、今はもう卒業して魔法世界へと帰ってきておる。魔法世界で生まれ育ったというのに懐かしさを覚えるあたり、我は地球に慣れ親しんだのであろうな。
いや……それも当然といえば当然。思い返してみれば、中学生の頃からホームステイをしておったのだ。中学、高校、大学……とこれまでの人生の半分近くは地球で過ごしたことになる。
「……今にして思えば、ずいぶんと長くあの家を使わせてもらったのだな」
最初こそあやつの家という感覚であったが、高校に入ってからはほぼ自分の家のように思っておった気がする。まあショウやレーネ殿が魔法世界の方へ拠点を移してしまった故に使っていたのが我ひとりだったからであろうが。
「……いつまでも懐かしがっておれんな」
我はもう大学生ではない。するべき仕事があるのだから手を動かさなければ。
そう思った我は開店の準備を進める。分からぬ者も居るだろうから説明しておくが、我が働いておる店は喫茶店。名前は《翠屋ミッドチルダ店》。地球の海鳴市にある翠屋の2号店だ。我はここの責任者でもある。
なぜ我が2号店を任せられたかというと、簡単に言ってしまえば地球で過ごした日々の結果と言えるであろう。
我は翠屋でバイトをしておった。手伝い自体はなのは達とも知り合いだった故に中学時代からしておったが、バイトとして働くようになったのはあやつらが魔法世界へと移ってからになる。
バイトを始めた理由としては、生活自体は親や夜月家の援助もあって金銭的に困ることはなかったのだが、さすがに友と遊んだりする分の金をそこから出すのは我の精神的に許容出来なかったからになる。
バイトとして働いている間に桃子殿からお菓子作りを教わり、いつしか自分も店を持つことが出来たらと思うようになった。それが大学卒業を機に運良く叶うことになり、今に至るわけだ。
店の名前が翠屋になったのは桃子殿に話したところ我は自慢の弟子であり、また魔法世界には愛すべき娘達が居る。忙しくてなかなか帰って来れない彼女達のためにも集まる場所、故郷を懐かしめる場所に我の店がなってくれたらという話になったので我から翠屋という名前を使わせてほしいと願い出たのだ。桃子殿はそれを快く承諾してくれたため、晴れてここが翠屋2号店になったのである。
「あちらと比べると小さいのだがな」
まあここは海鳴市ではなくミッドチルダ。開店したのがごく最近で周囲への認知はほぼないに等しい。この先の未来が成功すると確定されていないのだから最初から大きな店を構えるのは悪手だろう。今後この店がどうなっていくかは我とここで働く者の手に掛かっておるのだから。
「
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ