01月火ちゃん
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めた。
『全員座れ』
忍の命令通り、自分の席に付く家族。ホットケーキ係は免除されたのか、ボウルにホットケーキミックスを入れて水とかき混ぜる作業を続けた。
『これからワシが言う話は事実じゃ、ワシは魔法の国から来た魔法少女で、今後この家で暮らして、他の奴らと競って次期女王を目指している。これからお前たちに魔法を掛ける、ワシは親戚のオジサンから預かった従姉妹とかそんな所じゃ、口癖は「暦お兄ちゃんのお嫁さんになる〜〜」じゃ、寝床はこやつと同じ、覚えておけ』
忍が一番壊れた話を言い出し、CSで見た古い魔法少女の話を始めた。
それは昭和の魔法少女で、最近のハイビジョン制作のは、お互いに殺し合ったり勇者だったり円環の理に導かれたり男の娘だったりするので、そんな古い話が通じるのは母だけだ。
勿論親戚に金髪の奥さんを貰った叔父は居ないし、牙が生えて血を吸って空飛んで太陽が嫌いな親戚もいない。
それでも魔女っ子メグとかサリーちゃん、ミンキーモモぐらい古い話が通って、妹達は忍を僕や自分の従姉妹だと信じて、両親も親戚の子だと思い込んだ。
日常的に魔法を使ったりしても「実は魔法使いだし、アタシは知ってるんだぜ」みたいな芝居を続けることになった。
しかし「暦お兄ちゃんのお嫁さんになる〜〜」はどういう意味なのだろうか? 寝床が一緒でも怪しまれないためか? 忍もある程度デレて本当に懐いたのだろうか?
「話を続けよ、主殿よ。いや、暦お兄ちゃんであったな」
話を続けるように言われたが、BBAバンパイアに噛まれて家を出る話は続けられそうにない。
忍はこの家に居候する魔法少女で、まじもじるるもみたいな「実の妹」ではなく従姉妹だから、年齢さえ合えばギリギリ結婚できる相手になってしまった。
「妹御はフェニックスなのであろう? 話を続けよ」
続けよと言われても、月火ちゃん本人がいる前で言うのは忍びない。言葉に詰まっていると忍がまた何か話し始めた。
「それと月火、ちゃんはワシ、いや僕の本当の妹じゃなくて、フェニックスが托卵していった子なのじゃ、この家の誰とも血は繋がっておらぬ」
忍は声色を使ってるつもりなのか、大して似ていない僕のモノマネを始めて、僕が説明している振りをしたが、まだ言霊が効いているのか、何故か荒唐無稽な話も通ってしまった。
「月火がうちの子じゃない?」
「まあ暦、変なことを言わないで、月火は私がお腹を痛めて産んだ子よ」
僕が言っても信用して貰えそうにない言葉も、忍が言うと即座に信用してもらえた。それは本人にも通じたらしい。
「びええ〜〜〜〜っ、お兄ちゃんが虐める〜〜〜〜っ! どうせあたしなんて橋の下で拾ってきた子なんだ〜〜〜っ、びええええ〜〜〜〜っ!」
「落ち着け、血は繋がって無くても月火はアタシの妹だ」
デッカイ方の妹
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