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銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第七話 ベーネミュンデ侯爵夫人(その1)
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上? ベーネミュンデ侯爵夫人か……。
「これは?」
「先程エーリッヒに届いた。どう見る?」
「ベーネミュンデ侯爵夫人が姉を害そうとしている……」
「……多分そうだろうな」

「しかし、何故公にこの手紙が?」
「多分、この手紙の差出人はベーネミュンデ侯爵夫人を止めたいと思っているのでしょう。そして私がミューゼル大将と親しい事に注目した」
だから公に? 俺にではなく? 何となく面白くなかった。姉上の事なら俺に手紙が来るべきだ。

「それで公に手紙を?」
「ええ。ブラウンシュバイク公爵家なら宮中にも影響力を持つ。この問題は宮中の、しかも微妙な問題です。それで選んだのでしょうね」
なるほど、俺は宮中には影響力を持たない。それでか……。面白くは無かったが、理解は出来た。

「義父とリッテンハイム侯と話しました。この件については私のほうで動きましょう、大将は動かないでください」
「しかし」
「ミューゼル大将に取っては伯爵夫人を守るという理由があるかもしれません。しかし大将が動くと貴族達の中には大将が伯爵夫人を利用して宮中に介入してきたと考える人間が出るでしょう。それは大将にとって良い事では有りません。グリューネワルト伯爵夫人にとってもです」
「……」

公の言う事は分かる、もっともだとも思う。しかし公はともかく大公は、リッテンハイム侯はどう考えているのだろう。彼らにとっては姉上は目障りな存在ではないのだろうか。俺が黙っていると大公が口を開いた。

「不安かな、ミューゼル大将」
「いえ、そうでは」
「卿はどうやらわしが伯爵夫人に好意を持っていないと考えているようだな」
「……正直なところ不安は有ります」
その言葉に大公はリッテンハイム侯と顔を見合わせ苦笑した。

「確かにわしもリッテンハイム侯も好意は持っていない。しかし伯爵夫人の必要性は認めている」
「……」
妙な言葉だ。好意は持っていないが必要性は認める? つまり姉上を評価しているという事か? 大公が? リッテンハイム侯が?

俺が困惑しているとリッテンハイム侯が低い声で笑い出した。
「混乱しているようだな。良いかな、ミューゼル大将。本来陛下の傍に居る寵姫はその影響力から我等貴族にとっても政府、軍にとっても目障りな存在なのだ」
「……姉上も目障りだと」

「早とちりするな、ミューゼル大将。貴族、政府、軍は時に敵対しながらも協力して帝国を守ってきたが寵姫の存在はその調和を乱しかねない。しかし、伯爵夫人が陛下を利用して権勢を振るった事が有るかな? 政府を混乱させた事が有るか?」

「いえ、そんな事は有りません。姉はそのような人間ではありません」
大公とリッテンハイム侯はまた顔を見合わせた。そして大公が話し始めた。
「その通りだ。もし夫人を引き下ろ
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