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Three Roses
第三十話 論戦に向けて四

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「では論戦までこれまで以上に」
「読まれますか、聖書を」
「そうされますか」
「そしてその後も」
 論戦の後もというのだ。
「読んでいきます」
「そうされますか」
「それからも」
「はい、そうしていきます」 
 マイラはこのことも変わらなかった。
「聖書については」
「それではです」
「その様に」
 オズワルド公と司教もマイラの言葉に頷いた。
「されて下さい」
「是非共」
「わかりました」
 マイラは実際にだった、旧教の書に聖書を読んでいった。そのうえで論戦に向かおうとしていた。だがそれでもだった。
 二人は彼等だけになるとだ、不安な顔で話した。
「どうもですな」
「はい、やはりです」
「新教については」
「どうしてもですね」
「あの方は拒絶されます」
「それも心から」
 このことを危惧して言うのだった。
「マリー様は旧教の書も読まれているとか」
「太子もです」
 彼の場合は新教の書になる。
「相手の書も読まれる」
「宗派は違えど」
「そうされていますが」
「マイラ様はどうしても」
「旧教へのこだわりが強く」
「新教には頑ななままです」
 どうしてもというのだ。
「流石に政治としてはです」
「拒絶されませんが」
「以前のあの方でしたら」
「やはり」
 政治でも拒絶していただろうというのだ、このことは彼等も同じでそれでそうしたことについては同じであった。
「政治としてもです」
「そうされていました」
「だからこそ異端審問も呼ばれましたし」
「そのまま」
「やはりです」
 オズワルド公が言った。
「このことはです」
「太子が来られてですね」
「大きく変わりましたね」
「マイラ様のお考えも我々の考えも」
「そのどれもが」
 政治におけるそれがというのだ。
「非常にですね」
「変わりましたね」
「あの方も旧教徒ですが」
「信仰の篤い方ですが」
「それでもです」
「政治を第一に考えておられます」
 このことを話すのだった。
「そのお話をお聞きして」
「変わりましたね」
「まことに」
「信仰は大事ですが」
「政治においてはですね」
「妥協も必要である」
「彼等の存在を認めることを」
 新教徒達をというのだ。
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