第三十話 論戦に向けて三
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「その他にも何かとしようとしていますし」
「あの者達は狂犬です」
司教はマイラにもだ、異端審問官達に対してこの表現を使って話した。
「教皇庁の思いのまま動く」
「この国の王族である私が放置したならば」
「まさに教皇庁の思いのままです」
「動きですね」
「新教徒達以外にもです」
それこそというのだ。
「次から次にです」
「教皇庁の意にそぐわない者を」
「嗅ぎ回りそして」
「貪り食っていきますね」
「彼等は貪欲でもあります」
教皇庁の敵を嗅ぎ回り見付け出すと容赦なく惨たらしい拷問を加え生きながら火炙りにしていくだけではないというのだ。
「捕らえた者達の財産もです」
「その全てをですね」
「彼等のものにしますので」
だからこそ、というのだ。
「国の財産をもです」
「貪ってしまいますね」
「ですから」
「そのことから余計にですね」
「動かしてはならないのです」
「そのことは私も思います」
他ならぬマイラ自身もというのだ。
「やはり」
「はい、ですから」
「彼等についてはです」
「新教徒達への睨みとして置くべきですが」
「動かしてはなりません」
「そうしていきます」
これからも、というのだ。
「その様に」
「ではです」
「マイラ様もまた」
「論戦に参加して頂きますので」
「宜しくお願いします」
「わかっています」
これがマイラの返事だった。
「ですから私もです」
「学ばれていますね」
「日々」
「そうしています」
まさにというのだ。
「ただ」
「はい、新教の書はですね」
「そちらはですね」
「読まれていませんか」
「異端の書であるが故に」
「はい」
返答は変わらなかった。
「そうです、私はあくまで」
「旧教ですね」
「そちらの書を読まれていますか」
「何よりも聖書を」
信仰の原点というこの書をというのだ。
「読んでいます」
「聖書ですね」
「それを」
「確かに信仰の原点です」
「それはいいことですね」
「そうしています」
何よりもというのだ、マイラはこのことは幼い頃からだった。まさに彼女にとっては普遍のことである。そしてだった。
そのことについてはだ、マイラは二人に問うた。
「それはいいことですね」
「はい、やはりです」
「聖書は信仰の原点です」
「そこから全てがはじまります」
「まさに」
「そう思いますと」
「正しいです」
「そうですね、信仰は聖書からです」
マイラも二人の話を受けて頷いてからまた言った。
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