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真剣で私に恋しなさい!S〜それでも世界は回ってる〜
30部分:第二十六話 浴場にて
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ぐに当たりがきて、釣れたのはなんとヤマメ。全力で満喫してるな、まさに野生児。
「悠里、ワン子と京の格闘修行してくる。魚は大和と頼むぞ」
「アイ(了解)。気をつけてな〜」
モモは京とワン子を連れて林の中に入っていった。
大和はまゆっちの代わりにクリスの竿にエサを付けてやっている。なんだかんだで、大和はクリスとの関係を修復したいんだろうな。それからしばらくして、モモは戻ってきた。
「お疲れさん。2人は…組み手か?」
「あぁ、あれは好きにやらせるさ。……それにしても、お前はあまり釣れてないな、悠里?」
「……俺にだって苦手はあるよ」
いまだに俺のバケツには魚が一匹しかいない。エサが悪いのか、それとも竿か、はたまた自分か……
「なんとか挽回するよ。これじゃあ黒狼の名が廃るからな」
「ふふ、素敵だぞ悠里。頑張れよ」
そう言ってモモは俺の肩へ腕を回して、顔をもう片方の肩に乗せた。顔が近くなったことで、女性特有の甘い芳香と柔らかい感触が伝わる。
俺も男なので流石にそれにドキッ、と反応するが冷静になってモモに聞いた。
「気付いたか?」
「ああ、姿は見えないが私達以外にも人がいるな」
俺が聞くと、モモは耳元でささやく。先程から別の気配を感じて、隠れてタカの眼を使って、何人いるかは調べた。数は10人、それぞれが一般人ではなく、恐らくは軍人か戦場を経験した者達だろう。
「なぜそう思うんだ?」
「並び方だ。組織化されていて、すぐに動けるようにしてある。それに、息の殺し方が前にモモに挑みにきた元軍人に似てる」
「なるほどな、流石だ悠里。それじゃあ、私はこっちをなんとかするから、お前はワン子達を頼んだぞ」
「はいよ」
モモは俺から離れると嬉々として森の中に入っていく。俺はタカの眼でワン子と京の気を辿りながら、2人の所に向かった。
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