マイ「艦これ」(短編)「トモダチっぽい・中編」
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ずかしさのあまり彼に負けじと素っ頓狂な声を上げた。
「あれえ! 何でお父さんが夕立ちゃんを知ってるの?」
「えっと……」
父はドギマギしている。
「てことは、お父さんも提督だったんだ?」
まあオタクの兄の父親だから別に変でも無いだろう。
「そ、それよりだな、お前……何で?」
自分に矛先を向けさせまいとしているのか父は必死に夕立ちゃんを指差す。ステテコ姿なんだからいい加減引っ込んでくれたら良いのに。
「お父さんも何で、この子を知ってるの? ……金髪でハーフなの?」
母の着眼点はそこか。
「えっと……だな」
焦る父。
すると珍しく兄が奥からのっそりと出てきた。案の定、彼もまた夕立ちゃんを見るなり直ぐに凍りついた。
その反応を見て母は言う。
「何?ケンジまで……結局、皆が知ってる子なの?」
母は全く状況が分かっていない。既に混乱しまくりの我が家の玄関口。
でも私は、この混乱に乗じて母に訴えた。
「お母さん、ちょっと込み入った事情があってさ! ……お願いっ! 今夜、この子うちに泊めたいんだけど。良いかな?」
一瞬、考え込んだ母は、父を見た。
腕組みしていた父親は
「そうだな、困っているなら仕方ないだろう」と言った。
その背後で兄も、しきりに頷いている。調子が良いな。
そんな二人を見た母は、夕方ちゃんを見て言った。
「貴女、晩ごはん、まだでしょう?」
「うん」
アニメ声だ。可愛い……二人の男子はクラクラしている。バカみたい。
「じゃあ、上がりなさい。一緒に、ご飯食べよう」
母の、この一言で決まった。二人の男子は妙にニヤけた顔になった。
私はホッとした。母親が受け入れれば我が家という『関所』はオッケーだ。細かい問題は後から考えよう。
私の表情に安心したのか夕立ちゃんも微笑んでいる。至近距離で見るとやっぱり可愛いよな、夕立ちゃん。
母は食事の準備があるのか、サッと引っ込んだ。二人の男子は、
「ホラ、上がって」と言いながら夕立ちゃんを手招きする。
「失礼するっぽい」
『おおお!』
夕立ちゃんの台詞に、二人の男子は感動している。そうか『……っぽい』っていうのが夕立ちゃんの口癖だな。艦これプレイをしていれば、よく聞くのだろう。
私は夕立ちゃんに手を貸す。
「大丈夫?」
「うん」
そのとき再び奥から戻ってきた母は、着替えを手にしていた。
「ちょっとあんた、どこかで転んだ?」
確かに、改めて玄関で見ると夕立ちゃんはあちこち擦り剥けているし、制服も所々破れたり汚れたりしている。
夕立ちゃんは戦闘していたんだもんね。
「取りあえず上だけでも、これに着替えて」
「有り難う」
母に着替えを手渡されて軽く頭を下げる夕立ちゃん。本
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