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マイ「艦これ」(短編)
マイ「艦これ」(短編)「トモダチっぽい・中編」
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る?」

部室の片隅においてある煙突。確かに大きくて、かさ張る。これを持って移動するのは大変だ。

「とりあえず防具の山に混ぜて積んでおけば何となくそれっぽくない?」
確かによく見ると、夕立ちゃんの艤装は煙突の天辺(てっぺん)が剣道の面のような格子状になっている。大きさもちょうど顔くらいだ。

「そうだね。しばらくは、それで誤魔化せるかな」
「うん、そうしよう」
私たちは笑った。

 夕立ちゃんは私を見て言った
「そういえば……貴女の名前を聞いてないっぽい」
「え?」

私がちょっと驚いているとミサトが言った
「私はミサト。この子はアケミって言うんだ。私と同じ剣道部なんだよ」

「剣道部?」
夕立ちゃんは口を少し尖らせるような表情をした。ああ、いつもの夕立ちゃんっぽい。

ミサトは言う。
「あーそっか。夕立ちゃんは軍人だから剣道は当たり前にやるんだよね?」

「ううん」
夕立ちゃんは頭を振る。

「あんまり、やらないって言うか。最近、ちょっとサボってるんだ。大淀さんによく注意されて……アハハ」
意外に元気な夕立ちゃん、冗談も通じるようだ。私たちも笑った。
部室は少し和やかな雰囲気になった。

ミサトが言う。
「取り敢えず、帰ろうか?」
「うん」
私たちは部室を片付けて、帰宅する準備をした。

「じゃあ、夕立ちゃんはアケミん家(ち)で決まりだよね?」
ミサトが念を押すように言う。

私は「うん、大丈夫」って応えた。
ホンとは心配だけど仕方がない。

 私たちは部室を出て廊下から玄関へ向かう。途中で先生に出会った。でも薄暗かったので
「早く帰れよ」「はーい」 ……というやり取りで済んだ。

 学校を出てしまえば、ひと安心だ。擬装を外した夕立ちゃんは、その制服のデザインで普通の女学生にしか見えない。
夕方の街は、薄暗いから彼女の派手な金髪も、さほど目立たない。
 怪我が心配だったけど夕立ちゃんの体力は、かなり回復したようだ。艦娘は兵士だから基礎体力が違うんだね。

「じゃあね」
「バイバイ」
ミサトと別れた私たちは、家へ向かった。
私の家までは数分で到着する。その道中も誰にも怪しまれることは無かった。

「ただいま」
「お帰り、今日は遅かったねえ」
母は奥から出てきて夕立ちゃんを見ると言った。

「何? 友だち?」
「うん、トモダチっぽい」
夕立ちゃんは明るく答える。

「……ぽい?」
母は一瞬、不思議そうな顔をした。私はちょっと焦った。

「何だ? こんな時間に」
ブツブツ言いながら父が出て来た。

だがステテコ姿の父は玄関に立つ長身の夕立ちゃんを見て絶句した。
「ゆ、夕立?」

夕立ちゃんの前にステテコ親父を晒した私は恥
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