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恋姫†袁紹♂伝
閑話―覇道―
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が大炎の足止めの為だと思わせるのです。大炎が投入できず、陽軍は焦れるでしよう。方法はわかりませんが投石機の破壊に動きます」

「わざと破壊させる気?」

「いえ、私達は策を悟られないために全力で防ぎます。
 これは賭けです。私たちの予想を陽軍が越え、投石機を破壊できるかが最大の山場でしょう」

「呆れた。自軍ではなく敵軍の手腕に期待するのね。……続けなさい」

 促され、駒を動かす。陽軍が白馬を一帯を占領し、魏軍が官渡まで下がった形だ。

「あっさり退いた我々を陽軍は警戒します。すぐに攻めては来ないでしょう、――そこで。
 軍の立て直しと、官渡の住民を逃がす名目で敗走を演じます」

「!」

「陽軍は慌てて追いかけるでしょう。そして罠を疑います。
 しかし連れている民衆が敗走の演技であるという嫌疑晴らし、白馬という絶対優位な地形で投石機を破壊したという事実が、彼らを追撃へと駆り立てる」

「……それを天性の勘で見抜きかねない男がいるわよ?」

「そうですね。今まで華琳様から聞いた彼の逸話、これまでの実績を考えれば危険を察知するかもしれません。その瞬間こそ、彼の長所が短所になる場面です」

「……」

「袁紹殿は見た目と言動で誤解されがちですが、戦や政に対して非常に理知的です。
 また、周囲の意見に耳を傾け取り入れる事が器量がある。
 そんな彼が大陸統一最大の壁となる魏軍に大打撃を与える好機を前にして、自身の不確かな勘に頼ると思いますか?
 確かに、彼一人で軍を率いているならそれもあるかもしれません――が。
 陽国自慢の軍師達が追撃を進言するでしょう。情報と状況こそが軍師の全てですから。
 ……袁紹殿の勘が鳴らす警鐘は彼女達には響かない」

「理知的な彼は追撃か否かを迷い、臣下の進言が背を押す――なるほどね。
 でも、警戒して大炎を使うことは無いでしょう?」

「いいえ、必ず使います。何故なら陽軍の戦に半端はありませんから」

 黄巾、連合、その他小競り合い。袁紹は常に最善を尽くしてきた。
 そんな彼が迷いを振り払い追撃を行うのだ、必ず最善、大炎の騎突を選択する。
 
「そうして先行した大炎を、予めこの地に伏せたコレを使い殲滅します。
 陽軍は混乱するでしょう、何故ソレがあるのか――と。
 余りにも不合理で博打的、魏軍の性質と正反対をいく策。だからこそ陽軍ほ騙せる!」

 ――そして。

「大炎を退けた後に続く戦いの為……官渡の男を中心に武装させ、民兵として戦力にします」

「――ッ!?」

 ここにきて郭嘉の“勝てない”という言葉が理解できた。
 
 戦など、突き詰めれば領地や覇権を望んだ国同士のエゴだ。
 その中において日々を生きる民衆は被害者でしかな
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