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恋姫†袁紹♂伝
閑話―覇道―
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ところですが――」

「私と彼の間柄がそれを不可能にしていると」

「はい。華琳様が袁紹殿を理解しているのと同じく、袁紹殿も華琳様を良く知っている。
 また、高く買っているでしょう。私塾で嫌というほどに華琳様の才を見てきたのですから」

「……」

「その華琳様と魏軍に対して倍程度の戦力では心もとありません。
 確実に十倍以上の兵力五十万と、陽軍の主たる将兵を集結させます」

 顔良、文醜の二枚看板。人中の呂布、神槍の趙雲、猛将華雄に器用万能な公孫賛。
 荀ケ、程c、賈駆、陳宮ていった豊富な軍師陣。大陸最強の騎馬隊大炎。
 魏軍に勝るとも劣らない錬度誇る五十万の兵、それを率いるは天運に恵まれた袁紹。
 冗談のような戦力だ、敵対する事すら馬鹿馬鹿しく感じる。

「その陽軍を相手に、白馬一帯の攻防では勝ち目はありません。
 たとえ、切り札である投石機を使ったとしてもです」

「なら、地形の優位を利用する以外にあるのね。“勝てる”策が」

「――あります」

 特殊な駒を手に取り地形図の方へ戻ると、その駒を白馬の対岸に居る陽軍の場に置いた。
 魏軍が蒼、陽軍が黄で表されている模擬駒の中で異質の黒。
 その見た目の特色から作られた大炎の駒だ。

「私の策を実現させる前に、邪魔になる部隊が居ます」

「大炎ね」

 呂布が率いる千からなる騎馬隊。数だけ見れば唯の一部隊だが、その尋常ではない戦力を皆が知っている。

 矢を弾き、刃を通さず、重装で固めた兵の壁すら吹き飛ばす突破力。
 阿吽の呼吸で行われる連携に、一騎当千の将。一部隊で戦局を左右出来る怪物共だ。
 陽軍と敵対する者達はまず、大炎に対して対抗策を講じなければならない。
 すでに、兵力差で圧倒しているというのに――。

「第一段階として、この大炎の殲滅に全力を注ぎます。……白馬一帯を囮にして」

「それは、あの地を放棄するということかしら? だとしたら正気の沙汰じゃないわよ」

「ご指摘は最もでず。しかし、白馬では大炎は討てません」

 そこまで説明し、地形図上の駒を動かす。魏軍が防衛線を築き、陽軍が攻め立てる形だ。

「大炎は陽軍の宝にして鬼札です。強力無比な分、慎重に動かす必要があります。
 大河に邪魔され橋での渡河を強要されたこの戦地、大炎がてでくることはまず無いでしょう。
 橋落としや、連合戦で見せたカラクリ兵器を警戒するはずです。
 たとえ折り畳み投石機を使わなかったとしても、警戒心の強い袁紹殿が大炎を投入することはありません。
 そこで――投石機をわざと陽軍に晒します」

「!?」

「陽軍は大炎を使わなかった事に安堵するでしょう。やはりソレがあったかと笑みも浮かべます。
 彼らには投石機
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