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フロンティアを駆け抜けて
5VS6!ZワザVSメガシンカ(1)
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てて地面に盾を落とし、動かなくなる。キュウコンも無理やり炎を吐いたことで、傷口が少し焼けて余計にひどくなった。

「何ッ……!? ちっ、足掻きやがって」

 舌打ちするシンボルハンターに対し、キュウコンをボールに戻してやりながら、ジェムはキュウコンの声、内に込められた感情を理解する。普段の甘えん坊ともいえる態度からは予想もつかないほど激しい、憎悪と言ってもいい怒り。

「キュキュ、本当にお母様のことが大好きなんだよ。私の手持ちになってからもよくお母様に甘えてたし、お母様も私がやきもち焼いちゃうくらい大事にしてたし、笑いかけてた。そのキュキュが、こんな無茶してまであなたに怒るなんて……許せない。話次第じゃお母様にも謝ってもらうからね」
「そいつは無理な相談だな。それによ……今やきもち焼くくらいっつたけどな」

 ジェムの怒りなどやはり全く届いていない。むしろ別の部分に対して勝手にこう言った。

「そりゃ単純に、あの女にしてみりゃお前なんかよりそのキュウコンの方がずっと大事だってだけなんじゃねぇか?」
「……勝手なこと言わないで」

 不信や動揺を狙っているのではなく単純に思ったことを言っただけであろう、しかしあまりにも心無い言葉だった。

「勝手なことだって思うならそんなに声を荒げる必要なんてねぇだろ。心当たりがあるんじゃねえのか?」
「黙ってて!」

 ジェムの声が震えた。否定できないその言葉は肯定と同じだ。
 ジェムの母親は、ジェムにとっては少し気難しいところもあるけど優しく見守ってくれる人だった。だけど、キュウコンや父親に時たま見せるような心からの笑顔をジェムに向けてくれた記憶は……ない。笑う時は小さく、何かためらいがちであることをジェムはいつしか感じていたのだ。それを否定したくて、言い聞かせるように呟く。

「お母様は、私のこと大好きって言ってくれたもん……危ない目に合った時は、心配だってしてくれるんだから……」
「ま、お前はチャンピオン様とあの女を繋ぐ唯一の存在だからな。お前がいなくなりゃチャンピオン様が自分の家に帰ってきてくれる保証がなくなっちまうし、心配はするんだろうよ」
「黙っててって言ってるでしょ!!」

 ジェムの瞳に涙が浮かび、一気に心臓の鼓動が鳴り響いて息を荒げる。墓場中に声が響き、墓場のズバットたちが音に反応してきいきいと飛び回る。

「はあ、はあ……絶対、許さない。行くよルリ!」
「おお、怖い怖い。じゃあ俺もそろそろ本気を出すとするか」

 ボールからマリルリを出す。するとシンボルハンターは即座にムウマージを引っ込めた。そして取り出すボールはやはり二つ。


「現れろ! 魂喰らいし怨砂の城、シロデスナ! 航悔を鎮める錨、ダダリン!!」


 シンボルハンターの
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